官能の人類学

感覚論的転回を超えて

官能の人類学

身体の向こうのあなたと私を感じる旅へ 身体の物理的な境界を超えた、世界への感応と共振を描き出す官能=感応の共同体への誘い

著者 石井 美保
岩谷 彩子
金谷 美和
河西 瑛里子
ジャンル 地理・歴史・人類学  > 文化人類学
出版年月日 2022/03/20
書店発売日 2022/03/25
ISBN 9784779516443
判型・ページ数 A5 ・ 296ページ
定価 3,300円(税込)

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身体の向こうのあなたと私を感じる旅へ
官能=感応の共同体への誘い

他者やものとの触れ合いと結びつき、愛着と相互侵犯。その経験を通して、私たちの日常感覚はときに異化され、解放される。身体の物理的な境界を超えた、世界への感応と共振を描き出す官能の人類学


本書全体を通して描き出されるのは、個々の身体の物理的な境界を超え、世界と感応し合い、共振し合う圧倒的に豊かな身体経験の世界である。それは、遠い異世界のエピソードではなく、読者が秘めやかに抱いてきた官能経験とどこかで通じ合うものであることを、私たちは願っている。なぜなら、本書の各章が試みているのは、特定の身体の色やかたち、音や匂いの描写にとどまらない、未知のあなたとわたしが感応=官能を通して交わる場、第七官界への誘いであるからだ。(「序章」より)

執筆者紹介(執筆順・編者は*)

石井美保*(イシイ ミホ)
所属:京都大学 人文科学研究所 准教授(兼任)大学院人間・環境学研究科
担当:序章、第1章

河西瑛里子*(カワニシ エリコ)
所属:国際ファッション専門職大学 国際ファッション学部 講師
担当:序章、第2章

神本秀爾(カミモト シュウジ)
所属:久留米大学 文学部 准教授
担当:コラム1

金谷美和*(カネタニ ミワ)
所属:国際ファッション専門職大学 国際ファッション学部 准教授
担当:序章、第3章

山本達也(ヤマモト タツヤ )
所属:静岡大学 人文社会科学部 准教授
担当:第4章

岩谷彩子*(イワタニ アヤコ)
所属:京都大学 大学院人間・環境学研究科 准教授
担当:序章、第5章

中屋敷千尋(ナカヤシキ チヒロ)
所属:広島大学 大学院人間社会科学研究科 助教
担当:コラム2

ケイトリン・コーカー
所属:北海道大学 大学院文学研究院・大学院文学院・文学部 准教授
担当:第6章

熊田陽子(クマダ ヨウコ)
所属:国際ファッション専門職大学 国際ファッション学部 准教授
担当:第7章

山田仁史(ヤマダ ヒトシ)
所属:元東北大学 大学院文学研究科 准教授
担当:コラム3

川村清志(カワムラ キヨシ)
所属:国立歴史民俗博物館 准教授
担当:第8章

砂川秀樹(スナカワ ヒデキ)
所属:明治学院大学 国際平和研究所 研究員
担当:第9章

馬場 淳(ババ ジュン)
所属:和光大学 表現学部 教授
担当:コラム4

深海菊絵(フカミ キクエ)
所属:国立民族学博物館 超域フィールド科学研究部 外来研究員
担当:第10章

田中雅一(タナカ マサカズ)
所属:国際ファッション専門職大学 国際ファッション学部 教授
担当:第11章

濱野千尋(ハマノ チヒロ)
所属:京都大学 大学院人間・環境学研究科 博士課程
担当:コラム5
序 章

第一節 官能=感応の人類学へ
第二節 官能=感応の共同体
第三節 セクシュアリティとセンシュアリティ
第四節 多様な官能の入り口から

第Ⅰ部 身体と官能

第一章 ゾーエーの海に身を浸す
妖術者と女性司祭のセクシュアリティと官能性
石井美保

第一節 呪術・宗教実践と官能性
第二節 精霊による妖術者の「逮捕」
第三節 妖術者の告白記録
第四節 神霊に仕える女性司祭たち
第五節 ゾーエーの海に身を浸す

第二章 私は女神だ!
欧米の女神運動における女性と身体
河西瑛里子

第一節 女神運動の「女神」とは
第二節 女性の身体と女神の身体化
第三節 グラストンベリーの女神運動とウーマン・フェスト
第四節 グラストンベリー女神運動における女神の身体化の儀式
第五節 ウーマン・フェストにおける踊りのワークショップ
第六節 感覚としての女神

コラム1 わたしを明け渡し合う――縄文タトゥー実践者との対話の記録 神本秀爾

第三章 肌触りから装いを考える
インド服飾の素材と選択
金谷美和

第一節 素材と着心地
第二節 視覚中心だった装い研究
第三節 装いを触覚から考える
第四節 インドにおける装いの変化を再考する
第五節 化繊布の導入によって引き起こされた装いの変化
第六節 化繊布の肌触りとは
第七節 触覚で判別される衣装

第四章 運命的瞬間が人を歌手にする
二人のチベタン・ポップ歌手の語りから
山本達也

第一節 「歌手になる」理由を学ぶために
第二節 チベット難民とは
第三節 チベタン・ポップの概要
第四節 偶然の出会いが生んだチベタン・ポップの王の軌跡
第五節 模倣を通じた歌手としてのキャリア形成
第六節 協働が生み出すキャリアのかたち
第七節 縁が導く模倣と誘惑の連鎖
第八節 業を生きる歌手

第五章 旋回と官能
北西インド、カールベーリヤーの踊りにおける回転する身体
岩谷彩子

第一節 旋回する快楽
第二節 ヘビとともに生きる人びと
第三節 カルベリア・ダンスの官能/感応性
第四節 官能の呪縛
第五節 感応する身体、自己の変容

コラム2 身体の境界の揺らぎと官能 中屋敷千尋

第Ⅱ部 性愛と官能

第六章 ダンシング・カンノウ
ポールダンスからみたエロスの人類学
ケイトリン・コーカー

第一節 ポールダンスのエロスを考える
第二節 ポールダンスの歴史と変容
第三節 ショーパブでポールダンスを披露すること
第四節 「パニラビ」と「ピーチ」での一晩
第五節 ショーパブでの「反エロス」の言説
第六節 ポールダンスの披露からみえたエロスの可能性とエロスの人類学

第七章 「感能」がもたらす官能の経験
性風俗店で働く「おんなのこ」たちをめぐって
熊田陽子

第一節 官能が満ちた場所
第二節 Y店と官能の経験
第三節 「おんなのこ」が行使する「感能」とは
第四節 把握しにくい客
第五節 「感能」が目指す共通感覚
第六節 コモン・センスとコモン・ナンセンス

コラム3 性文化への道 山田仁史

第八章 男が語るセクシュアリティ
あるいは自閉する欲望の領域
川村清志

第一節 いくつかのトリヴィア、あるいは研究者の素顔
第二節 研究史の断片から、あるいは抑圧と氾濫のセクシュアリティ
第三節 性が語られる場、あるいは定点観測
第四節 リ・トリヴィア、あるいは今後の課題

第九章 ジェンダー/セクシュアリティ再考
クィア人類学的視点から
砂川秀樹

第一節 性的マジョリティとは誰か
第二節 セクシュアリティをどう研究するか
第三節 ドラマからセクシュアリティを考える
第四節 性の普遍性と構築性
第五節 ワイルドサイドの人類学を歩む

コラム4 VR時代のアダルトビデオと男性身体 馬場 淳

第一〇章 性愛のポリティクス
米国南カリフォルニアのポリアモリー社会を事例に
深海菊絵

第一節 ポリアモリーという愛のかたち
第二節 非対称性に基づいた他者との関わり
第三節 「もし……」という不安
第四節 より安定した絆、より濃密な絆を求めて
第五節 ラディカル・オネスティをめぐる緊張
第六節 傷つきやすさとともに生きる
第七節 性愛と倫理の民族誌に向けて

第一一章 BDSMと性暴力
同意と痛みをめぐって
田中雅一

第一節 BDSMは性暴力の代替物なのか?
第二節 BDSMと同意
第三節 同意の現場へ
第四節 BDSMと痛み
第五節 BDSMとスピリチュアリティ


コラム5 誘惑する犬 濱野千尋

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