人類学者たちのフィールド教育

自己変容に向けた学びのデザイン

人類学者たちのフィールド教育

この不確実な世界を生き抜くには何が必要か。「フィールドワーク教育」を気鋭の人類学者たちが徹底的に実践することを通して思考する

著者 箕曲 在弘
二文字屋 脩
小西 公大
ジャンル 教育・語学・文学  > 高等教育
地理・歴史・人類学  > 文化人類学
出版年月日 2021/03/31
書店発売日 2021/03/31
ISBN 9784779514814
判型・ページ数 A5 ・ 200ページ
定価 2,640円(税込)

この本へのお問い合わせ・感想

この不確実な世界を生き抜くには何が必要か 昨今注目されている「フィールドワーク教育」を気鋭の人類学者たちが徹底的に実践することを通して思考する
課題解決型学習(PBL)に自己変容型フィールド学習(SFL)という新たな手法を実装する人類学者たちによる多様で革新的な教育実践に基づいたフィールドワーク教育への提案の数々を紹介

小川さやか氏推薦!
驚きに満ちたフィールドで、学生とともにつくる教育っておもしろい

本書で提唱する「自己変容型フィールド学習(SFL)」とは、〈なじみ〉から切断された空間で実施される具体的な課題への取り組みを通して、自分が抱いていた「暗黙の前提」に気づき、自身の世界観を更新していくことを目指す学習のことである。(「はじめに」より)


●著者紹介
執筆者紹介(執筆順,*は編者)
箕曲 在弘(みのお ありひろ)*
東洋大学社会学部社会文化システム学科准教授。同大学助教,専任講師を経て,2017年より現職。海外研修科目「社会文化体験演習(キャリア分野)」を担当。2013年に授業内にSmile F LAOS という学生団体を立ち上げ,毎年20名程度の学部生をラオスの農村地域に引率し,フィールド教育を実施。
担当:第1章・第2章・第3章・コラム①・コラム②・コラム⑥

二文字屋 脩(にもんじや しゅう)*
早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター講師。京都文教大学総合社会学部特任実習職員(教務補佐)を経て,2018年より現職。前職にて実習科目の引率補佐に従事。現在は「ボランティア×人類学」をテーマに,タイ少数民族を対象としたボランティア活動とフィールド教育を実施。
担当:第1章・第2章・第5章・コラム④・コラム⑤・おわりに

小西 公大(こにし こうだい)*
東京学芸大学教育学部准教授。東京外国語大学現代インド地域研究センター研究員を経て,2015年より現職。インターカレッジな教員・学生で構成される実践型研究プロジェクト「生活文化研究フォーラム佐渡」を2009年に立ち上げ,以来100名を超える学生たちとともにフィールド教育を実施。
担当:はじめに・第1章・第2章・第4章・コラム③

寺内 大左(てらうち だいすけ)
東洋大学社会学部社会文化システム学科助教。2017年より現職。海外研修科目「社会文化体験演習(国際理解分野)」を担当。毎年15~20名の学部生をインドネシアの農村地域に引率し,フィールド教育を実施。
担当:第6章

湖中 真哉(こなか しんや)
静岡県立大学国際関係学部教授,学長補佐。1994年より静岡県内の地域社会およびケニア遊牧社会でフィールドワーク実習に従事。学生とケニア国内避難民支援活動を実施した活動で2011年度グローバル教育コンクールJICA広尾センター所長賞を受賞。
担当:第7章

ジョナサン・ディハーン(Jonathan deHaan)
静岡県立大学国際関係学部准教授。ニューヨーク大学特別研究員等を経て,2009年より現職。ゲームを通じて地域社会に根差した教授法,教育改革を探究。
担当:第7章

飯塚 宜子(いいづか のりこ)
京都大学東南アジア地域研究研究所研究員。二元論では説明し難い先住民社会のフィールドで出会う思考法などを次世代と共有しようと,マナラボ環境と平和の学びデザインを立ち上げ,分野を超えた協働による実践と研究を実施。
担当:第8章
第I部 理論編

第1章 フィールドから生まれる自己変容 箕曲在弘・二文字屋脩・小西公大

1 人類学とフィールドワーク
2 フィールドワークを通した自己変容の経験
3 三つのコンピテンシーと自己変容
4 〈なじみ〉からの切断を通した異和感の醸成
5 「共有に向かうこと」:ティム・インゴルドの教育論をめぐって
6 自己変容型フィールド学習の可能性

第2章 自己変容型フィールド学習に向けて 箕曲在弘・二文字屋脩・小西公大

1 フィールド教育の舞台としての課題解決型プロジェクト学習
2 PBLとSFLを組み合わせる意義
3 場づくりとファシリテーション
4 本書の構成

第II部 実践編

第3章 反-反設計主義のフィールド教育:大学における短期海外研修(スタディツアー)を事例に 箕曲在弘

1 型にはまった認識を相対化させるために
2 短期海外研修の概要
3 学習デザイン①:家計調査を通した「貧しさ」の社会的文脈の理解
4 学習デザイン②:省察による自己認識の相対化
5 「反-反設計主義」としての短期海外研修

column 1〈新しい能力〉とPBL

第4章 偶発性を生み出すフィールド教育:学びが生まれる余白と異種混交性 小西公大

1 予定調和的フィールド教育からの脱却:フィールドと実践知
2 偶発性を生み出すプラットフォーム
3 異種混交性をデザインする
4 新潟県佐渡市におけるフィールド教育
5 物質文化に関するフィールド教育の流れ
6 フィールド教育の可能性:偶発性を中心に

column 2 ジョン・デューイの経験学習論とPBL

第5章 ボランティアとフィールド教育:タイ少数民族との邂逅と協働を通した自己変容の可能性 二文字屋脩

1 ボランティア学習と人類学
2 ボランティアという入り口
3 もりびとプロジェクトの概要
4 自己変容をデザインする
5 学生たちの自己変容
6 自己変容の可能性

column 3 自己変容にまつわる教育論

第III部 展開編

第6章 自己変容型フィールド調査実習の試み:調査期間と専門性の制約を超えて 寺内大左

1 フィールド調査を通して自己変容を導く
2 短期海外研修科目の概要
3 仮説法:自己変容を促すフィールド調査方法
4 フィールド調査終了後の自己省察
5 変化がわかる調査結果報告(発表・報告書執筆)
6 まとめ:可能性・限界・課題について

column 4 フィールド教育と安全管理/危機管理

第7章 フィールドワークと教育を超える協働実践:グローバルな当事者間のニーズ共有接近法の実験から 湖中真哉・ディハーン, J.

1 教育を乗り越えるフィールドワーク・フィールドワークを乗り越える教育
2 異文化理解を乗り越えるフィールドワーク教育の方法論:グローバルな当事者間のニーズ接近共有法
3 ケニアのサヴァンナと日本の中山間地域をつなぐespプロジェクトの概要
4 プロダクト・オリエンテッド・ラーニング(POL)としてのespプロジェクト
5 プロジェクト・ドリブン・ラーニング(PDL)としてのespプロジェクト
6 自己自身を発見するために遠くの他者から学ぶ

column 5 フィールドへのインパクト

第8章 教室で再現するフィールド:パフォーマンスによる北米先住民カスカの民族誌 飯塚宜子

1 子どもたちと文化人類学
2 カナダ先住民の「フィールド」を教室で創る方法
3 ワークショップ「動物と話す方法」
4 学びの分析
5 まとめ

column 6 SFLの学習評価は可能か?

おわりに

ご注文

2,640円(税込)

ネット書店で購入する

  • Amazon
  • honto
  • e-hon 全国書店ネットワーク
  • Honya Club.com
  • 紀伊國屋書店ウェブストア
  • セブンネットショッピング
  • 楽天ブックス
  • ヨドバシ.com

シェアする

このエントリーをはてなブックマークに追加