ケアの実践とは何か

現象学からの質的研究アプローチ

ケアの実践とは何か

看護、ドナー、助産師、統合失調症、養護教諭、リハビリ――広く多様な「ケア」の豊かな営みの諸相を明らかにする。

著者 西村 ユミ 編著
榊原 哲也 編著
ジャンル 医療・看護・福祉
出版年月日 2017/09/30
書店発売日 2017/09/30
ISBN 9784779512001
判型・ページ数 4-6 ・ 288ページ
定価 3,080円(税込)

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看護、ドナー、助産師、統合失調症、養護教諭、リハビリ――広く多様な「ケア」の豊かな営みの諸相を明らかにする。

――自身がかかわった妊婦や患者の存在、そしてそこでの自身の実践を、彼らは問い続ける。「私の実践は、言葉かけは、相手にとっていかなる意味をもっていたのか」と。その問いは、実践を続ければ続けるほど、その実践自体のなかで繰り返し彼らに浮かび上がり、それゆえその意味を探究せざるをえなくなる。実践自体に問いかけられ自らの実践を捉え直す契機となるのだ。(「本文」より)。

執筆者紹介(*は編著者)
榊原哲也*(さかきばら てつや)
東京大学大学院人文社会系研究科教授。博士(文学)
単著:『フッサール現象学の生成――方法の成立と展開』(東京大学出版会、2009年)。
担当:第1章,第10章

西村ユミ*(にしむら ゆみ)
首都大学東京健康福祉学部看護学科教授。博士(看護学)
単著:『看護実践の語り――言葉にならない営みを言葉にする』(新曜社、2016年)など。
担当:第2章,第10章

一宮茂子(いちのみや しげこ)
立命館大学生存学研究センター客員研究員。博士(学術)
単著:『移植と家族――生体肝移植ドナーのその後』(岩波書店, 2016年)。
担当:第3章

戸田千枝(とだ ちえ)
畿央大学助産学専攻科看護医療学科特任講師
担当:第4章

籔内佳子(やぶうち よしこ)
立命館大学応用人間科学研究科修士課程修了、
元総合病院看護師
担当:第5章

田野中恭子(たのなか きょうこ)
佛教大学保健医療技術学部看護学科講師
担当:第6章

大西淳子(おおにし じゅんこ)
立命館大学応用人間科学研究科修士課程修了、
元公立小中学校養護教諭
担当:第7章

尾﨑雅子(おざき まさこ)
神戸常盤大学保健科学部看護学科教授
担当:第8章

村井みや子(むらい みやこ)
立命館大学応用人間科学研究科修士課程修了、
元公立病院看護師
担当:第9章
第一章 現象学と現象学的研究(榊原哲也)

一 はじめに
二 疾病と病い
三 自然科学(医学)的なものの見方はどのような特徴をもつのか
四 体験(意味経験)と看護ケア
五 「意味」はどこから・いかにして生じてくるのか――「現象学」という哲学
六 フッサール――意識の志向性と態度
七 ハイデガー――現存在の気遣い
八 メルロ=ポンティ――身体的志向性
九 さまざまな現象学的看護研究
一〇 方法は「現象」そのものの方から

第二章 ケアの実践を記述すること/自らの視点に立ち帰ること(西村ユミ)

一 実践を問い直すこと
二 問いが生まれる
三 問いに応じる方法
四 個別の経験を捉え直す意義

第三章 ドナーをめぐる関係性の変容(一宮茂子)
――生さぬ仲の生体肝移植

一 はじめに
二 先行研究から見た本研究の位置づけ
三 対象と方法
四 ドナーはどのようにして決まっていったのか
五 ドナーの経験がその後の生の営みに及ぼした影響
六 結びにかえて
七 本研究の意義と限界

第四章 助産師が語る「忘れることができない」ケアの経験(戸田千枝)

一 はじめに
二 方 法
三 結 果
四 考 察
五 まとめ

第五章 看護師の実践を支える経験(籔内佳子)
――経験を積んだ看護師の語りを通して

一 看護師の職業継続と離職
二 長年経験を積んだ看護師の語り
三 看護師実践を支える構造
四 患者の存在に支えられる看護実践へ

第六章 統合失調症療養者の子をもつ親の体験(田野中恭子)
――親自身が必要とする支援に関する一考察

一 はじめに
二 方 法
三 結 果
四 考 察
五 本研究の限界と課題
 
第七章 養護教諭のまなざし(大西淳子)
――メルロ=ポンティの身体論を手がかりに

一 はじめに
二 養護教諭と保健室の歴史
三 研究の視点としての身体論
四 養護教諭の経験:語らないAさん
五 結 び――養護教諭のまなざし

第八章 看護の人間学(尾﨑雅子)
――鈴木大拙の思想を通して

一 今、看護を見直す意味
二 ある老女との出会い
三 看護のうちに潜む矛盾
四 存在していること――虚と実
五 生きていること
六 共にある関係
七 看護再考――新たな看護のあり方に向けて

第九章 リハビリ看護試論(村井みや子)
――生の意味を問う

一 はじめに
二 看護経験から見た医療の変遷
三 中途障害者の事例を通して生の意味を問う――中年男性の障害から「生」を考える
四 リハビリ看護の考察
五 おわりに

第十章 看護実践の構造(西村ユミ・榊原哲也)
――フッサールの志向性概念との対話

一 はじめに
二 困ったけど困ってしまわない看護実践
三 「意志」と「行為」の現象学――フッサールに即して
四 看護実践の現象学
五 「私/私たちはできる」の身体化
六 看護実践からの現象学に向けて
七 おわりに

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