メディアをつくって社会をデザインする仕事

プロジェクトの種を求めて

メディアをつくって社会をデザインする仕事

教育現場、地域社会、現代文化を変えようとする起業家たちはどのような思いを伝えたのか?大学生たちが自ら編み上げたインタビュー集

著者 大塚 泰造
松本 健太郎
ジャンル 社会・文化  > 芸術・メディア
教養・共通科目  > キャリア教育
出版年月日 2017/05/15
書店発売日 2017/05/15
ISBN 9784779510656
判型・ページ数 4-6 ・ 170ページ
定価 2,090円(税込)

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教育現場を変える、地域社会を変える、現代文化を変える起業家たちは大学生たちにどのような思いを伝えたのか? 
多様な取組みを行っている社会起業家たちに学生たち自らが計画を立て、編み上げたインタビュー集!

 

【監 修】(* 執筆者を兼ねる)
大塚泰造*
二松學舍大学都市文化デザイン学科非常勤講師
Kakaxi, Inc. CEO
スポーツ・イノベーション株式会社代表取締役
株式会社ポケットマルシェ取締役
沖縄バスケットボール株式会社ファウンダー/オーナー
株式会社フラッグ取締役
NPO 法人東北開墾理事
一般社団法人日本食べる通信リーグ理事

松本健太郎*
二松學舍大学都市文化デザイン学科准教授*
京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。
博士(人間・環境学)。 著書に,『ロラン・バルトにとって写真とは何か』(ナカニシヤ出版,2014 年)他。

【編 者】(* 執筆者を兼ねる)
山﨑裕行*
二松學舍大学大学院修士課程二年

柴田拓樹
二松學舍大学国文学科四年

加藤興己
二松學舍大学国文学科四年

木本伸之
二松學舍大学国文学科四年

白土智之
二松學舍大学国文学科四年

田中友大
二松學舍大学国文学科四年

大工綾乃
二松學舍大学国文学科三年

【執筆者】
谷島貫太
二松學舍大学文学部都市文化デザイン学科専任講師

小西卓三
昭和女子大学英語コミュニケーション学科准教授

黒臼美穂
昭和女子大学英語コミュニケーション学科四年

佐藤美冬
昭和女子大学英語コミュニケーション学科四年

 

『あとがきより一部抜粋】

一次元の世界では目標まで「遠いか/近いか」の尺度しかない。貨幣経済においては、企業の活動はその稼いだ貨幣の多寡によって計測される。しかし現在、世界はあまりにも複雑化し、「儲かるか/儲からないか」といった単純な尺度では解決しえない課題が山積している。目標をもつこと、そこへと一直線に到達するエネルギーはたしかに大切だが、はたしてその目標は、無数の課題を抱えた世界のどこへと位置づけうるのか、それを多角的に検討する必要がでてくる。そして自分とその目標物との正確な位置関係を把握するためにも、ときには経済的な尺度とは異なる尺度、たとえば学術的な視座が提供してくれる尺度をもって、“三角測量”をおこなうことも意味があると思われるわけである。

じっさい、本書でとりあげた八つのプロジェクトは、どれも経済的な尺度のみからでは評価できないものばかりである。では、どうやってその新たな価値を見いだせばよいのであろう――そのような問いを意識しながら、本書では各プロジェクトに対して二つの視点を設定することにした。一つ目は、インタビュアーとしての若者、すなわち大学生としての視点。二つ目は、各インタビュー記事に「メディア研究者のメモ」との題目でエッセイをよせた松本准教授の視点である。前者に関して付言しておくと、本書はPBL(プロジェクト型の学び)の一環ということもあるので、できるだけ学生によるインタビュー当時の臨場感やリアリティを残そうとつとめた。とはいえプロが編集したインタビュー記事とは異なるので、かなり「生っぽい」というか、皆さんにとっては読むのに引っかかる部分があったかもしれないが、なるべく学生が関心をもった部分を活かそうと試みた次第である。他方、後者に関して付言しておくと、松本准教授には研究者あるいは教育者として立場から、それぞれのインタビューに対するエッセイの執筆をお願いした。学術的な内容を含むこれらのエッセイによって、各インタビューイーご本人たちにとっても、何らかの新鮮な発見があったのではないだろうか、とも思う。

二次元の世界では、三角測量によって既知の一辺と二つの角度によって測定点の座標を得ることができる。しかしわれわれが生きる現実世界は、二次元よりもさらに複雑かつ流動的であり、より多くの視座をもつことによって、ようやくその測定点の座標をめぐって、おおくの人々の合意を取りつけることができる。つまり目標となる座標を(経済的なものにせよ、それ以外のものにせよ)単一の視点に依拠しながら直線的に眼差すのではなく、それを(学問的なものも含めて)複数の視点に依拠しながら多角的に測定していく――そしてそのようなイメージでとらえてみた場合、本書の主題でもある「メディアをつくる」という営為や、さらに、それを学問的に考察するという営為は、じつは社会が複数の尺度を獲得するうえで有意義なのではないかと考えられる(じっさいに本書でとりあげた各プロジェクトは、何らかのかたちで、社会に新たな視点を打ち立てることに寄与している)。

社会をデザインするために、メディアをつくる。そしてそのメディアをつくる営為は、社会に新たな「視点」や「尺度」を導入する契機にもなりえる。監修者としては、本書に収録された各インタビューをつうじて、あるいは、それらに対して加えられた各エッセイをつうじて、新たな「視点」や「尺度」が読者の皆さんにもたらされることを願っている。きっと、それが(社会をデザインするための)新しい「プロジェクトの種」になるはずだから。

監修者を代表して 大塚泰造

はじめに――プロジェクトの種を求めて(山﨑裕行)  

第1部 メディアをつくって教育現場を変える

第一章 科学をわかりやすく伝えたい
    ――だからリバネスをつくる(丸 幸弘)  
第二章 教育をめぐる格差をどうにかしたい
    ――だからアオイゼミをつくる(石井貴基)  
第三章 子どもたちに未来を考えるきっかけを届けたい
    ――だからカタリバをつくる(今村久美)

第2部 メディアをつくって地域社会を変える

第四章 復興をめぐる文脈を変えたい
    ――だから東北復興新聞をつくる(本間勇輝)
第五章 生産の裏側にあるリアルを届けたい
    ――だから東北食べる通信をつくる(高橋博之)  
第六章 経済合理性で割りきれないことを考えて欲しい
    ――だからローカル鉄道・地域づくり大学をつくる(海野 裕)  

第3部 メディアをつくって現代文化を変える

第七章 もっとファンたちに物語を体感してほしい
    ――だからPKシアターをつくる(伊藤秀隆)
第八章 スポーツにエンターテイメントをもちこみたい
    ――だから琉球ゴールデンキングスをつくる(大塚泰造)
  
第4部 プロジェクトから考える大学と社会

第九章 日本のポップカルチャーに関するアーカイブ調査ワークショップ
    ――東京大学サマープログラム「メディアミックス」(二〇一四年)の事例から(谷島貫太)  

第十章 コミュニケーションの産出
    ――JCA関東支部研究会における議論を起点として(小西卓三・黒臼美穂・佐藤美冬)

第十一章 大学教育の現場におけるPBLの可能性を再考する
     ――「学生映画 コンテスト in 瀬底島」を事例として(山﨑裕行・松本健太郎)

おわりに(大塚泰造)  
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