目次
第1章 領域と代表(只野雅人)
第1節 はじめに:「偶々領域的に確定された政治的共同体」?
第2節 普通選挙と個人・領域
第3節 個人主義的代表と領域
第4節 むすび:可変的な諸利益の共同体
第2章 選挙と投票:個人の投票価値の平等と選挙人団の自治(飯島淳子)
第1節 問題関心
第2節 選挙制度・投票制度の類型化
第3節 選挙制度・投票制度の意味
第4節 結 語
第Ⅱ部 選挙区・議員・有権者:切断と接近
第3章 「地域代表」と選挙区制(大山礼子)
第1節 選挙区とは何か?
第2節 日本における選挙区制の起源
第3節 選挙区制の展開
第4節 選挙区制の現状と問題点
第5節 おわりに
第4章 衆議院議員選挙区の区割基準に関する一考察(稲葉 馨)
第1節 はじめに
第2節 判例における区割基準論
第3節 「 衆議院選挙制度に関する調査会答申」(2016(平成28)年1月)と区割基準
第4節 衆議院議員選挙区画定審議会における区割基準
第5節 あとがき
第5章 《proximite》考:何を概念化するのか(糠塚康江)
第1節 はじめに
第2節 選挙区制と《proximite》:フランスにおける選挙制度改革論議
第3節 選挙民と議員の〈つながり〉という《proximite》
第6章 ホームレスと選挙権(長谷川貴陽史)
土地から切り離された個人の同定について
第1節 問題状況:選挙制度と住所
第2節 日本のホームレスの概況
第3節 判 例
第4節 判例に対する評価
第5節 法令の沿革
第6節 米国の判例及び制度からの示唆:有権者登録に要する住所(及び居所)の認定
第7節 米国のホームレスの選挙権行使の障害:継続的居住要件とID
第8節 小 括
第7章 代替不在者投票から考えるインターネット投票への道(河村和徳・伊藤裕顕)
第1節 はじめに
第2節 代替不在者投票
第3節 物理的輸送からICT 利用へ
第4節 共通投票所投票制度
第5節 インターネット投票に向けて
第Ⅲ部 選挙と領域性
第8章 土地と自由,選挙権―序説(中島 徹)
第1節 土地と選挙
第2節 土地所有権の近代性と前近代性
第3節 土地所有権,人格権,選挙権
第4節 小括:近代的土地所有権,人格権,選挙権
第9章 所有権のイメージ(小粥太郎)
第1節 はじめに
第2節 民 法
第3節 憲 法
第4節 おわりに
第10章 住民投票・空間・自治(牧原 出)
第1節 はじめに
第2節 住民投票の制度
第3節 空間を超える民主主義
第4節 おわりに
第11章 現代フランスにおける「都市問題」の語りかた:エロー県モンペリエ市セヴェンヌ地区の事例(小田中直樹)
第1節 はじめに
第2節 通説的な都市問題の語りかた
第3節 「アイデンティティの政治」アプローチの陥穽
第4節 セヴェンヌ地区の事例から
第5節 おわりに
第Ⅳ部 日本の問題状況
第12章 〈国民が担う立憲主義〉に関する考察(佐々木弘通)
第1節 はじめに:本章の課題と構成
第2節 立憲主義という実践的な〈ものの考え方〉
第3節 憲法科学の対象としての憲法:樋口憲法学のモデル
第4節 憲法典を軸とした憲法秩序モデル:憲法テクストと,三つの規範
第5節 憲法典を軸とした憲法秩序モデル:現代日本の場合
第6節 憲法秩序モデルの,立憲主義の考え方による実践的理解
第7節 〈「国家」の立憲主義〉と,憲法「解釈」という営為
第8節 現代日本における〈「社会」の立憲主義〉の実践的課題と制憲者意思
第9節 おわりに
第13章 代表民主主義における理念と現実:現代日本政治の思想と制度(樺島博志)
第1節 問題構成
第2節 日本政治の制度と理念
第3節 グローバル社会の政治理念と日本の政治文化
第4節 結 語
内容説明
代表制民主主義の現代的再生のために――
議員と有権者をむすびつけるものは何か?
選挙区と選挙の抱える問題を多角的に問い直し、
〈つながりの回復〉をめざす。
◎第1 代表制民主主義は,選挙を正統性の起点としている。そこでの選挙という営みは,選挙人個人にとっての意味と選挙区の選挙人団にとっての意味とでは,異なるのだろうか。「異なる」のであれば,それはどういう意味においてなのか。
◎第2 選挙区ごとに選挙人団が確定され,議員が選出される。この仕組みは,何に基づいてルール化され,何を実現しようとしているのか。
◎第3 選挙区が領域性をもった「土地」という地理的実在を基盤にしていることは,「選挙」という営みに,何をもたらしているのか。
(「まえがき」より)
●編者紹介
糠塚康江(ぬかつか やすえ)
まえがき・第5章を担当
東北大学 大学院法学研究科 教授
法学博士
専門分野:憲法学
主要著書・論文 『現代代表制と民主主義』(2010 年,日本評論社),『フランス憲法入門』(共著)(2012 年,三省堂),「「大都市圏」 と「地方圏」 の地域格差とジェンダー」ジェンダー法研究3号(2016 年)など。
●執筆者紹介
只野雅人(ただの まさひと)
第1章を担当
一橋大学 大学院法学研究科 教授
専門分野:憲法学
飯島淳子(いいじま じゅんこ)
第2章を担当
東北大学 大学院法学研究科 教授
専門分野:行政法
大山礼子(おおやま れいこ)
第3章を担当
駒澤大学 法学部政治学科 教授
専門分野:政治学(政治制度論)
稲葉 馨(いなば かおる)
第4章を担当
東北大学 大学院法学研究科 教授
専門分野:行政法
長谷川貴陽史(はせがわ きよし)
第6章を担当
首都大学東京 大学院社会科学研究科 教授
専門分野:法社会学
河村和徳(かわむら かずのり)
第7章を担当
東北大学 大学院情報科学研究科 准教授
専門分野:政治学
伊藤裕顕(いとう ひろあき)
第7章を担当
富士大学経済学部非常勤講師・東北大学全学
教育非常勤講師
専門分野:マスメディア論・メディア政治
中島 徹(なかじま とおる)
第8章を担当
早稲田大学 大学院法務研究科 教授
専門分野:憲法学
小粥太郎(こがゆ たろう)
第9章を担当
一橋大学 大学院法学研究科 教授
専門分野:民法
牧原 出(まきはら いづる)
第10章を担当
東京大学 先端科学技術研究センター 教授
専門分野:政治学,行政学
小田中直樹(おだなか なおき)
第11章を担当
東北大学 大学院経済学研究科 教授
専門分野:フランス社会経済史
佐々木弘通(ささき ひろみち)
第12章を担当
東北大学 大学院法学研究科 教授
専門分野:憲法学
樺島博志(かばしま ひろし)
第13章を担当
東北大学 大学院法学研究科 教授
専門分野:法理学