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境界を生きた心理臨床家の足跡  新刊

鑪幹八郎からの口伝と継承

境界を生きた心理臨床家の足跡

ひとりの精神分析家の生涯をたどるインタヴューから新たな知をそこに見出す。

著者 岡本 祐子 編著
ジャンル 心理学
心理学 > 臨床
出版年月日 2016/09/30
ISBN 9784779510939
判型・ページ数 A5・352ページ
定価 本体4,500円+税
 

目次

第Ⅰ部 心理臨床家人生の物語とわが国の心理臨床学の足跡
第1 章  こころの探究の原点―アイデンティティの起源としての家族―
1.「原点」のイメージ―1 枚の写真―
2. 戦時中のやんちゃな子ども時代
3.「鑪」という名前
4. 父の仕事
5. 幼い頃の家族体験
6. 父・兄・姉の死
7. 病気と祈祷師
8. 九州学院中学・高校へ
9. 九州学院という異文化
10. 父親代わりだった内海季秋牧師
11. 家庭教師のアルバイト
12. 牧師になるか,教師になるか
13. 所属感と根こぎの感覚
14. 母から教わったこと

第2章 「育ち」からの脱却―「自分」とは何か―
1. 結核の療養―心の内的世界と向き合う―
2. 亡き父親との対決―「父親殺し」と根こぎ感―
3.妻と の出会い―言葉で分かり合える「家族」の安心感と継子的所属感―
4. 継子コンプレックス
5. 育ちの中の断絶感を埋めるもの―のめり込む体験―
6. 心理学を学ぶ―知的障害児との出会い―
7. 正木正先生のこと―大学院進学への志向―

第3章 臨床心理学の黎明期の物語
1.京都大学大学院へ
2.近江学園での経験と田中昌人先生の発達検査
3.正木正先生の最後の講義
4.心理臨床実践の始まり
5.先輩 畠瀬稔先生
6.倉石精一先生
7.学校恐怖症(不登校)の研究
8.ホワイト研究所への架け橋
9.障害児の親の障害受容の研究

第4章  精神分析家になるための訓練―自分がつくり変えられた体験―
1.ホワイト研究所へ―京都とニューヨークの夕日の思い出―
2.孤独な異国でのアパート探し
3.ゲイ・グループ
4.ソンドラ・ウイルク
5.日本語への渇望
6.ホワイトでの訓練の日々
7.臨床事例から学ぶ
8.ユニオン・プロジェクト―労働者階層へ精神分析的心理療法を行う試み―
9.スーパーヴァイザーとスーパーヴィジョン
10.個人分析の体験
11.サイコセラピーと英語
12.セラピスト- クライエント関係の文化差
13.精神分析の訓練を通して内的に変化したもの
14.ポール・リップマン
15.アメリカで出会った友人―親友関係から見えてくる文化差―
16.マリアン・リース
17.ルーテル教会でのアルバイト―「つながり」の不思議―

第5章 わが国の臨床心理学の土台作りと発展 
1.大阪教育大学と大学紛争
2.広島大学へ
3.心理臨床の土台作り
4.エリクソンとアイデンティティ研究
5.森有正の「経験の哲学」とアイデンティティ探究
6.「境界人」の意識
7.オースティン・リッグス・センターでの臨床経験
8.夢分析について
9.心理臨床観を変えたクライエントとの出会い―クライエントにとっての治療者との心理地理的距離―
10.仕事への向き合い方
11.精神分析の位置づけと認知行動療法
12.自己探求と心理療法
13.海外体験余話―インド旅行―

第6章 心理臨床学(界・会)を牽引する
1.臨床心理学部を創る
2.心理臨床学会を育てる
3.博士(臨床心理学)の学位
4.学長としての光と影
5.心理面接でエネルギーを回復する
6.2 つの学会賞をめぐって
7.KIPP( 京都精神分析研究所)
8.国家資格問題
9.心理臨床の倫理とガイドライン
10.事例研究・事例研究発表のあり方

第7章 残された仕事と次世代に伝えるもの
1.熟達の基盤
2.次世代を育てる経験について
3.時代の変化の中での次世代の専門家の育成
4.50 歳の「父親殺し」のテーマ,再び
5.専門家としての人生と家族
6.引退後の残された仕事

第Ⅱ部 受け継ぐ側の思索
第8章  鑪幹八郎とは何者か―師弟関係からの論考― 山本 力
1.はじめに
2.希有な姓名の由来
3.家族風土から九州学院という新たな風土へ
4.結核の療養生活と亡き父への怒り
5.亡くなってから出会った父―遅れたモーニングワーク―
6.ホワイト研究所での厳しい訓練と文化的移行
7. 周辺意識とキャリア・アンカー
8.後ろ向きに前進する
9.確認の作業―反省的実践家―
10.結語―鑪幹八郎とは何者か―

第9章 「 師の人生の物語」からの省察―「私」が創られていく土台,その連続性と非連続性― 岡本祐子
1.はじめに
2.内的〈問い〉と「師」のもつ意味
3.青年期に出会った「異文化」としての鑪先生
4.「私」が形成されていく土台,その連続性と非連続性
5.危機の体験とアイデンティティの断層を埋めるもの
6.アイデンティティの非連続性をつなぐもの
7.次世代へ受け継がれるもの

第10章  鼎談を終わって 鑪幹八郎 

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内容説明

ひとりの精神分析家の生涯をたどるインタヴューから新たな知をそこに見出す――
精神分析家固有の経験の語りは、同時に専門家アイデンティティの形成と深化に関する示唆を内包している。そしてそれは、日本の臨床心理学の黎明期から今日までの発展の歴史の中での専門家の営みを伝える。これから専門家を目指す人へ心理臨床のヴィジョンと学び方も示唆するインタヴュー。


●執筆者紹介( * 編者)

鑪 幹八郎(たたら みきはちろう)
広島大学名誉教授,教育学博士(京都大学),臨床心理士
主著:
アイデンティティ研究の展望Ⅰ~Ⅵ ナカニシヤ出版 1995-2002. (共編著)
鑪幹八郎著作集 第1巻 アイデンティティとライフサイクル論 ナカニシヤ出版 2002.
鑪幹八郎著作集 第2巻 心理臨床と精神分析 ナカニシヤ出版 2003.
鑪幹八郎著作集 第3巻 心理臨床と倫理・スーパーヴィジョン ナカニシヤ出版 2004.
鑪幹八郎著作集 第4巻 映像・イメージと心理臨床 ナカニシヤ出版 2008. 他
本書担当:第1章~第7章の語り手/第10章執筆

山本 力(やまもと つとむ)
岡山大学名誉教授・就実大学大学院教育学研究科教授,博士(心理学),臨床心理士
主著:
心理臨床家のための事例研究の進め方 北大路書房 2001.(編著)
臨床心理学 ミネルヴァ書房 2012. (共著)
喪失と悲嘆の心理臨床学―様態モデルとモーニングワーク― 誠信書房 2014.  他
本書担当:第1章~第7章の聴き手/第8章執筆

岡本 祐子*(おかもと ゆうこ)
広島大学大学院教育学研究科教授,教育学博士,臨床心理士
主著:
成人期における自我同一性の発達過程とその要因に関する研究 風間書房 1994.
中年からのアイデンティティ発達の心理学 ナカニシヤ出版 1997.
アイデンティティ研究の展望Ⅰ~Ⅵ ナカニシヤ出版 1995-2002. (共編著)
アイデンティティ生涯発達論の射程 ミネルヴァ書房 2002. (編著)
アイデンティティ生涯発達論の展開―中年期の危機と心の深化― ミネルヴァ書房 2007.
成人発達臨床心理学ハンドブック―個と関係性からライフサイクルを見る― ナカニシヤ出版 2010.(編著)
世代継承性シリーズ1 プロフェッションの生成と世代継承―ケーススタディ:中年期の実りと次世代の育成― ナカニシヤ出版 2014.(編著) 他
本書担当:第1章~第7章の聴き手/第9章執筆

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