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大学生の主体的学びを促すカリキュラム・デザイン  新刊

アクティブ・ラーニングの組織的展開にむけて

大学生の主体的学びを促すカリキュラム・デザイン

全国の国立・公立・私立大学の学科長へのアンケート調査と多様なケーススタディから見えてきたカリキュラム改定の方向性とは何か

著者 日本高等教育開発協会
ベネッセ教育総合研究所
ジャンル 教育・文学 > 教育学
教育・文学 > 高等教育
出版年月日 2016/06/30
ISBN 9784779510618
判型・ページ数 A5・168ページ
定価 本体2,400円+税
 

目次

はじめに
1 研究の概要  
2 本書の構成と活用方法  

第1部 なぜカリキュラム・デザインを議論するのか
01 学士課程教育の体系化を導くカリキュラム・デザイン
1 カリキュラムの改定に向けた方法論の必要性  
2 主体的な学びとカリキュラム・デザイン 
3 カリキュラム構築と改善に向けた四つの視点の相互関係 
4 教育改革の「本丸」としてのカリキュラム改革

02  学習者中心の教学改革を進めるために重要なことは何か
1 アクティブ・ラーニングを取り入れたカリキュラム論の必要性
2 「青年の発達を支援する教育の場」としての大学という視点 
3 ディプロマ・ポリシーならびに目指す人材像の設定
4 専門教育・共通教育・正課外教育・正課外活動を俯瞰的に捉える
5 学生を成長させるカリキュラム・デザインのポイント
6 エビデンスを元にした改善・管理:アクション・リサーチ的データ活用の勧め

第2部 主体的な学びを促すカリキュラム・デザインの実態
03 主体的な学びを促す教育方法の導入
1 約8 割の学科で導入済み,効果は道半ば  
2 プレゼンは必須,全学と学科で相互補完  
3 初年次教育での実施が6割  
4 初年次でAL を体験,学ぶための基礎技法や態度育成も
5 約半数で教室環境が整備,人員配置は低調 
6 FD の中心は講演型が大半,実践型のFDは低調 

04  カリキュラム改定のポイント
1 改定は学部・学科の改編・新設に合わせて,が約5割 
2 改定は教務担当教員が主導,学部・学科の権限で決定
3 主体的な学びの姿勢や意欲伸張のための改定が約7割
4 約9 割の学科でDP を重視,民主的な合意形成を重視
5 約半数が学部・学科内の教員間の合意形成に課題を感じている

05  現在のカリキュラムの特徴と運用状況
1 CAP制,履修モデルは定着,ポートフォリオやナンバリングは4分の1
2 授業評価アンケートが中心,卒業生・学外者評価は低調  
3 教育業績評価や教員負担,学生の力量不足を問題視  
4 汎用的能力を意識したカリキュラムは増加傾向 

第3部 カリキュラム改革の四つの視点
06  カリキュラム改革の目的は何か
1 なぜカリキュラムを改革するのか?
2 カリキュラム改革のねらいと「主体的学び」の促進
3 カリキュラム改革の「三つの課題」
事例解説:何を問題と捉えてカリキュラムを改定するのか 

07  カリキュラム改革のための組織体制はどうあるべきか
1 教員間の合意形成の難しさと大学ガバナンスの強化 
2 教育組織と研究組織の分離により柔軟な教育プログラムを提供する 
3 カリキュラム改革に向けて組織をデザインする 
事例解説 カリキュラム改革の推進と合意形成の工夫

08  主体的な学びを促すカリキュラムをどうデザインすべきか
1 カリキュラム・デザインとは何か 
2 目標設計から始める  
3 スコープ(領域)を設定する
4 シーケンス(順序)を設定する
5 「本質的な問い」を探究した履歴としてカリキュラムを捉える
事例解説:カリキュラムの設計手続きとアクティブ・ラーニングの取り入れ方 

09  どのようにしてカリキュラムの評価・改善を実施すべきか
1 評価の目的を明確にする 
2 DP と対応したカリキュラム評価を行う
3 仮説を立てる 
4 分析・評価の結果をフィードバックする
5 フィードバックを改革・改善に活かす組織をデザインする 
6 新たな評価文化を築く
事例解説:カリキュラム評価・改善の実例

第4部 カリキュラム・デザインのケーススタディ
10 カリキュラムの評価システムをどう構築したらよいか[島根大学教育学部]
1 概要:戦略的FD としてカリキュラムのPDCA サイクルを構築
2 山陰地方の教員養成を担う教育学部としての再出発
3 プロファイルシートによるカリキュラムの再構築 
4 カリキュラムのPDCA の構築 
5 外部評価の導入 
6 大学教員間の連携による戦略的FD の実践 
7 学び続ける教師として
解説:危機を契機にカリキュラム改革による組織改革の王道をゆく

11  科目数を精選するにはどうしたらよいか[信州大学農学部森林科学科]
1 概要:2度のカリキュラム改定で,バランスのとれた教育内容を実現 
2 学生の声に立脚したディプロマ・ポリシーの見直し  
3 教える内容単位でシラバスを見直す 
4 ディプロマ・ポリシーに照らし合わせ抜け漏れを確認 
5 学生目線での改革を継続させていく 
解説:授業科目名だけではなく授業内容にまで踏み込んだ学習内容の精選が鍵 

12  学生の現状を基に,カリキュラムや教育方法を見直すには
[神奈川工科大学創造工学部ロボット・メカトロニクス学科]
1 概要:カリキュラム改定で課題発見・解決型科目「ユニットプログラム」を導入
2 学生の実態を見て,理論と実践の連携に配慮したカリキュラムに
3 科目の関係性や意義を伝え,学びを動機づけるユニットプログラム 
4 カリキュラムを実行し,学生の自発性を引き出す教師の役割  
5 カリキュラムの効果を踏まえた持続的な仕掛けづくり 
解説:カリキュラム改革や授業改善の出発点は学生の実態を把握することから 

13  伝統ある学部のカリキュラムを改革するには[青山学院大学法学部]
1 概要:4コースを設置し,国際性・専門性・先端性を併せ持つ人材を育成
2 法学部の存在が埋もれてしまうという危機感  
3 「育成したい人材像」を各コースでも明確に定義
4 大学院での分野融合型研究を学部教育に生かす 
5 座学とアクティブ・ラーニングを組み合わせたカリキュラム
6 複数の教員が担当し指導法を学び合う  
7 プロジェクト型課題解決で教員間の合意形成を図る 
解説:全学的な協力体制の構築を可能にした改革イメージの共有 

14  資格取得型カリキュラムに主体性育成の手法をどう取り入れたか[摂南大学薬学部]
1 概要:学生の主体性を引き出すために,1年生にTBL を導入
2 合目的的な学びの枠を超えた主体性の引き出しに課題  
3 「学ぶ内容」は変えずに「学び方」を工夫  
4 議論を重ねるうちに合意形成の意味に気づく  
5 学生の変化を知ってTBL を導入する教員も  
6 改革を担う若手教員を中心にまず素案をつくる 
7 汎用的な力を備えた薬剤師を育てるために  
解説:主体的な学びを推進する鍵はカリキュラムの組織的な検証・改善  

15  教員間の認識の壁を乗り越えカリキュラム改革を進めるためには[三重大学教育学部]
1 概要:現場での学習を1年生から行なえるようにするため,カリキュラムを再構築 
2 現場体験の不足から挫折する学生が増加  
3 FD で学生の声を教員に直接伝える  
4 全教員の意識共有を目指し根気強く説明や説得を続ける  

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内容説明

大学へのアクティブ・ラーニングの導入を意識したカリキュラム改革の行方を探る
全国の国立・公立・私立大学の学科長への大規模なアンケート調査(2376学科から回収)と多様なケーススタディから見えてきたカリキュラム改定の方向性とは何か。近年の動向について現場の実践者の視点を交えながら高等教育の専門家たちが迫る。


主体的な学びは,各授業における学生の参画や双方向授業の展開といったミクロシーンにとどまるものではない。むしろ,アクティブ・ラーニングの取り組みを,カリキュラムの中に,理念的にも制度的にも明確かつ適切に位置づけて組織的に展開すること,すなわち「アクティブ・ラーニングをカリキュラムで生かし」「カリキュラムによって学生を育てる」という発想に基づく学士課程教育の再構築が求められている。(「はじめに」より)


●執筆者紹介(* は編集代表者)
日本高等教育開発協会
2009年に設立された,大学のFD担当者(高等教育開発者)の専門家団体。日本の高等教育機関の教育と学習の質の向上に貢献することを理念とし,全国のFD 担当者を対象とした研修や研究会を開催している。
http://jaed.jp/jaedweb/

川島啓二(九州大学教授,日本高等教育開発協会前会長) 第1章
井上史子(帝京大学教授) 第7章
佐藤浩章*(大阪大学准教授) 第8章
山田剛史*(京都大学准教授) 第3章,第4章,第5章,第9章
吉田香奈(広島大学准教授) 第6章

ベネッセ教育総合研究所
(株)ベネッセコーポレーションの研究部門を統合し2013 年に設立されたベネッセの社内シンクタンク。独自の調査研究に基づき,乳幼児から大学生,社会人に至る教育上の諸課題について幅広く発信を行うとともに,英語教育やICT 教育,アセスメントなど教育・学習に資するに実践面の方法やツールの研究・開発を行っている。
http://berd.benesse.jp/

樋口 健*(主任研究員) はじめに,第3部事例解説
山下仁司(大阪大学教授,元ベネッセ教育総合研究所主席研究員)第2章

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