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2016/11/07
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2016/07/13
認知資本主義
21世紀のポリティカル・エコノミー
生産と組織のフレキシブル化、金融化の進行、労働として動員される「生」
1960-70年代以降の激動がもたらしたポスト・フォーディズムは、非物質的なものをめぐって旋回する――Y・ムーリエ=ブータン、A・フマガッリ、C・ヴェルチェッローネ、C・マラッツィ、M・ラッツァラートらが論じる現代のグローバルな趨勢「認知資本主義」を、様々な事例を取り上げ、政治経済学的な視角から分析。
資本主義は葛藤や批判を糧にして変貌する。認知資本主義は、一九六〇~七〇年代の社会変動、抵抗、多形的な欲望、新たな主体性に資本主義が適応することから形成された。それが生産と組織のフレキシブル化、労働の人間化、個性的なライフスタイルの消費、等々である。進取の経営者はしだいに問題の性質を理解し、懐柔に転じる。カウンターカルチャーを通過した新世代の企業家たちもやがて頭角を現すことになる。しかしその適応は、ただの譲歩ではなかった。雇用は不安定化し、万事がマーケティングや投資として語られ、セーフティネットは破られていく。(「序論」より)
●著者紹介 *は編者
山本泰三*(やまもと たいぞう)
京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了、博士(経済学)。
四天王寺大学他非常勤講師、阪南大学学習アドバイザー。
担当:序章、第二章、第六章、コラム1、2、3、5、6、8
内藤敦之(ないとう あつし)
一橋大学大学院経済学研究科博士課程単位取得修了、博士(経済学)。
大月短期大学経済科教授。
担当:第一章
立見淳哉(たてみ じゅんや)
名古屋大学大学院環境学研究科修了。
大阪市立大学大学院創造都市研究科准教授。
担当:第三章、コラム4
須田文明(すだ ふみあき)
京都大学大学院農学研究科博士課程中退、博士(農学)。
農水省農林水産政策研究所上席主任研究官。
担当:第四章
横田宏樹(よこた ひろき)
パリ第一三大学大学院経済学研究科博士後期課程修了、博士(経済学)。
旭川大学経済学部経営経済学科准教授。
担当:第五章
村越一夫(むらこし かずお)
京都大学大学院経済学研究科博士後期課程。
駐日バーレーン王国大使館エコノミスト。
担当:第六章
今岡由季恵(いまおか ゆきえ)
大阪市立大学大学院創造都市研究科修士課程修了。
ラジオ局勤務を経てゲーム会社に勤務。
担当:第七章
松井朋子(まつい ともこ)
京都教育大学大学院教育学研究科社会科教育修了。元京都府府民生活部府民力推進課協働コーディネーター。
二〇一五年度より京都市文化市民局地域自治推進室京都市まちづくりアドバイザー。美しい祇園祭をつくる会代表。
担当:コラム7
北川亘太(きたがわ こうた)
京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了、博士(経済学)。
関西大学助教。
担当:第八章
植村 新(うえむら あらた)
京都大学大学院法学研究科博士後期課程修了、博士(法学)。
和歌山大学経済学部講師。
担当:第八章
春日 匠(かすが しょう)
京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程満期退学。
大阪大学コミュニケーションデザイン・センター招へい研究員。
担当:第九章
川邉 雄(かわべ ゆう)
グラフィックデザイナー。装幀家(最新作『誰が「橋下徹」をつくったか』)。 RLL(Reading Leaf Lounge)。自家製天然酵母パンPirate Utopia。
担当:コラム9
中山智香子(なかやま ちかこ)
早稲田大学経済学研究科単位取得満期退学、ウィーン大学大学院経済学研究科経済学修了、博士(経済学)。
東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。
担当:第十章
#2016
序 論(山本泰三)
一 はじめに
二 資本蓄積の変質
三 包摂される知と生
四 コモン、レント、金融化
五 問題の形跡
六 フォーディズムの危機と新たな主体性
七 「社会などというものはない」
八 具体的分析のために
九 本書の構成
第一章 認知資本主義(内藤敦之)
――マクロレジームとしての特徴と不安定性
一 はじめに
二 認知資本主義論の概要
三 認知資本主義レジームの不安定性
四 結 論
第二章 労働のゆくえ(山本泰三)
――非物質的労働の概念をめぐる諸問題
一 非物質的労働
二 「暗黙の実務」の労働過程
三 スミス的分業と認知的分業
四 賃金労働
五 人的資本
六 むすびにかえて
第三章 認知資本主義と創造都市の台頭 (立見淳哉)
一 はじめに
二 知識創造とイノベーション
三 「創造」都市の構築
四 おわりに
第四章 コモンにおける真正性の試験と評価(須田文明)
――テロワール・ワインと有機農産物を事例に
一 はじめに
二 認知資本主義下のコモンの地主的領有
三 テイスト:コモンにおける真正性の評価
四 対立した二つの行為レジーム
五 テイストを通じたコモンの地主的領有と
市場のハイブリッド化:おわりにかえて
第五章 企業と動態能力(横田宏樹)
――日本企業の多様性分析に向けて
一 現代日本企業と多様性
二 動態能力分析の方法論的枠組み:動態能力構築メカニズム
三 ケーススタディ:トヨタとホンダの動態能力
四 成果と残された課題
第六章 コーチングという装置(村越一夫・山本泰三)
――認知資本主義における労務管理?
一 問題の導入
二 企業という装置
三 コーチングの機制
四 ニューソートからエビデンス・ベーストへ
五 コーチングの効果と測定?
六 むすびにかえて
第七章 クリエイターの労働と新しい地域コミュニティ(今岡由季恵)
一 日本のクリエイティブ産業
二 認知資本主義時代の〈共〉的コミュニティ
三 クリエイター集積地域のコミュニティ
四 新町コミュニティの実態と価値観
五 NPOが示す現在の地域コミュニティのありかた
六 〈共〉的地域コミュニティのこれから
第八章 ドイツの労働組合による組織化戦術の新展開(北川亘太・植村 新)
一 はじめに
二 生産過程及びマクロ経済レジームに関するIGメタルの認識
三 アメリカ型の組織化戦術の特徴
四 学習と内省を通じた組織化戦術の受容
五 派遣労働者の組織化
六 問題発見・問題解決型コンセプトとしての「良い仕事」
七 IGメタルの組織化戦術の新展開
八 認知資本主義論からの解釈
第九章 「継続的本源的蓄積」としての研究開発 (春日 匠)
――ネオコロニアリズムと研究者のプレカリアート化の関係について
一 「寿命が延びること」の意味を問い直す
二 経済成長を! そのために知識を財産に!
三 暗黙知に対する海賊行為
四 イノベーションのための「継続的本源的蓄積」を問う
第十章 認知資本主義と統治(中山智香子)
――貨幣が国家から離れるとき
一 はじめに
二 「認知」の意味とその資本主義的構造
三 「金融化」における貨幣と統治
コ ラ ム
1 認知資本主義の論者たちとその周辺、日本への紹介
2 ベーシック・インカム
3 アレントにおける労働
4 ジェントリフィケーション
5 インターネットとグーグル的蓄積?
6 認知科学
7 協働コーディネーターという仕事(京都府の場合)
8 フーコーにおける生権力・生政治とマルクスにおける包摂
9 カルチャー・ジャミングの終焉
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