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EUの規範政治

グローバルヨーロッパの理想と現実

EUの規範政治

環境、人権、移民、安全保障――。EUの対外的な規範パワーはいかにして形成されるのか。そのメカニズムに迫る。

著者 臼井 陽一郎
ジャンル 法律・政治 > 政治学
法律・政治 > 国際政治
出版年月日 2015/06/15
ISBN 9784779509261
判型・ページ数 A5・328ページ
定価 本体3,500円+税
 

目次

序 章 規範のための政治、政治のための規範 臼井陽一郎
  ─―政体EUの対外行動をどうみるか
 1.本書のねらい
 2.規範政治
 3.EUの規範志向性、その源泉
 4.EUの対外行動
 5.本書の構成

第Ⅰ部 規範政治の基礎論

第1章 コンストラクティヴィズムのヨーロッパ統合研究 東野篤子
  ─―EUにおける規範への視角
 1.ヨーロッパ統合研究におけるコンストラクティヴィズム
 2.統合と規範─コンストラクティヴィズムからの知見
 3.コンストラクティヴィズムの可能性─歴史研究との協働可能性?

第2章 EUは『規範パワー』か? 東野篤子
 1.マナーズの『規範パワー論』
 2.NPEの衝撃─受容、浸透、批判
 3.「新たな規範的転回」か?

第3章 域外からみた規範パワーとしてのEU 福井英次郎
 ――その研究方法の再検討
 1.規範パワーの再検討
 2.研究方法の考察

第Ⅱ部 規範政治の域内基盤

第4章 初代EU〈大統領〉ファンロンパイの合意型リーダーシップとその変容 松尾秀哉
 ─―大海に飛び出した井の中の蛙
 1.リスボン条約における“顔”の創設
 2.ベルギー時代のファンロンパイ
 3.EU時代のファンロンパイ
 4.結論─多様性の中の強いリーダーへ?

第5章 ユーロ政党とEUの価値規範 スティーブン・デイ(臼井陽一郎訳)
 1.ふたつの政治イベント
 2.規範の意義について
 3.主流派ユーロ政党
 4.ユーロ政党の拡大
 5.2014年欧州議会選挙
 6.ユーロ政党研究の意義

第6章 規範政治とEU市民社会 明田ゆかり
 1.市民社会と規範
 2.EUの複合的ガバナンスと市民社会
 3.トップダウン─規範政治から市民社会へ
 4.ボトムアップ─市民社会から規範政治へ
 5.トランスナショナルなベクトル─EU規範政治とグローバル市民社会との共鳴

第Ⅲ部 対外関係の規範政治

第7章 EUによる対外的な規範普及のための手段と成功条件 武田健
 ─―EU新規加盟と欧州近隣政策
 1.非強制的な手段による規範受容の働きかけ方
 2.EUへの新規加盟
 3.欧州近隣政策
 4.EUの規範普及活動の未来

第8章 グローバリゼーションを管理せよ 明田ゆかり
 ─―規範を志向するEUの通商政策
 1.EUの通商政策と規範
 2.グローバル貿易ガバナンスにおける規範の修正
 3.バイラテラルなFTAを通じた規範の拡散
 4.規範志向の通商政策の罠

第9章 EUの通商政策を通じた動物福祉の普及 関根豪政
 ─―動物福祉の「すすめ」か「押しつけ」か?
 1.EUにおける動物福祉の概念の展開
 2.多数国間関係における動物福祉の限界
 3.二国間・複数国間関係での克服の可能性
 4.二国間・複数国間アプローチの限界と問題点

第10章 石炭を諦めない 市川顕
 ─―EU気候変動規範に対するポーランドの挑戦
 1.国際気候変動交渉におけるEU
 2.EUの気候変動規範
 3.EU気候変動規範への挑戦
 4.COP19と石炭気候サミット
 5.EU気候変動規範の強さと脆さ

第11章 非EU市民の受け入れ方 小山晶子
 ─―EUの移民統合政策が進める第三国国民の同化と排除
 1.共通移民政策の対象としての第三国国民の権利
 2.ソフトローによる第三国国民の統合アプローチ
 3.義務化される第三国国民の統合政策
 4.欧州アジェンダにみる第三国国民の統合の行方

第12章 コカイン、ヘロインを撲滅せよ 福海さやか
 ─―国際組織犯罪と闘うEU
 1.脅威としての麻薬密輸
 2.EUの麻薬規制政策
 3.麻薬規制プロジェクト

第13章 アメリカの譲歩とEUの妥協 小松﨑利明
 ─―国際刑事裁判所(ICC)とEUの規範政治
 1.国際刑事裁判規範の歴史
 2.ICC規範の形成とEU
 3.ICC規範をめぐる政治

第14章 EUの文民的危機管理政策 小林正英
 ─―ソーセージとEUの文民的危機管理政策がどう作られるかを知る人は、もはやぐっすりと眠ることはできない
 1.文民的危機管理とはなにか
 2.EU安全保障政策の規範志向性の現在
 3.EU文民的危機管理政策構築の政治力学
 4.文民的危機管理政策の(非)規範性─まとめにかえて

あとがき

コラム1 「デンマークでなにかが腐ってる」?(東野篤子)
コラム2 死刑廃止の“世界的潮流”(小松﨑利明)
コラム3 日本のメディアのEU認識(福井英次郎)
コラム4 日本・韓国・中国におけるEUのノーベル平和賞受賞の報道(福井英次郎)
コラム5 日本の大学生のEU認識(福井英次郎)
コラム6 EUのFTA政策と日EU・FTA(関根豪政)
コラム7 EUへ向かう脱北者たち(金敬黙)
コラム8 ウクライナ危機は“西側の責任”か?─国際社会のEUに対する注目、期待、理解(東野篤子)

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内容説明

環境、人権、移民、安全保障――。

EUの対外的な「規範パワー」はいかにして形成されるのか。国際規範を構築するEU、そのメカニズムに迫る。

 

本文より

本書ではコンストラクティヴィズムの基本的問題意識を踏襲するが、必ずしもそのリサーチ・デザインには拘泥しない。……規範政治とはむしろ、ひとつの研究方針を指し示す言葉だと受け取ってもらいたい、規範を実現しようとする政治と、規範を利用しようとする政治の表裏一体性を明らかにしようとする研究方針である。規範を実現しようとして失敗するEU、規範を操作利用し戦略的にふるまおうとしてうまくいかないEUという、イメージと実態のギャップに注視したい。批判的アプローチを通じてこそあらためて、国際規範を構築するEUの否定しえない実績に注意を引くこともできよう。


●著者紹介(執筆順、*は編者)

臼井陽一郎*(うすい・よういちろう)序章
1965年生まれ。早稲田大学社会科学部卒業、同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学、英国・リーズ大学大学院法学研究科論文修士課程修了。現在、新潟国際情報大学国際学部教授。EU政治専攻。『紛争と和解の政治学』(共編著、ナカニシヤ出版、2013年)、『環境のEU、規範の政治』(ナカニシヤ出版、2013年)、他。

東野篤子(ひがしの・あつこ)  第1章、第2章、コラム1、8
1971年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業、同大学院法学研究科政治学専攻博士課程単位取得退学。英国・バーミンガム大学大学院政治・国際関係研究科Ph. D 取得(政治学)。広島市立大学国際学部准教授を経て、現在、筑波大学人文社会系国際公共政策専攻准教授。専門は国際関係論、ヨーロッパの国際政治。『ヨーロッパの政治経済・入門』(分担執筆、有斐閣、2012年)、「ウクライナ危機をめぐるEUの対応─経済制裁、連合協定、和平調停」(『ロシア・ユーラシアの経済と社会』第987号、2014年)、他。

福井英次郎(ふくい・えいじろう)  第3章、コラム3、4、5
1973年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業、慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻修士課程修了、ウォーリック大学政治国際学部国際関係論専攻修士課程修了、慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻後期博士課程単位取得退学。現在、ジャン・モネEU研究センター(慶應義塾大学)研究員。専攻はEU政治学・対外認識研究・震災研究。「EU認識研究に関する一考察─日本のエリート調査を事例として」『日本EU学会年報』(第28号、2008年)、他。

松尾秀哉(まつお・ひでや)  第4章
1965年生まれ。一橋大学社会学部卒業、東邦ガス株式会社、株式会社東海メディカルプロダクツ勤務を経て、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。聖学院大学政治経済学部等を経て現在、北海学園大学法学部教授。ヨーロッパ政治、比較政治学専攻。『ベルギー分裂危機─その政治的起源』(明石書店、2010年)、『模索する政治─代表制民主主義と福祉国家のゆくえ』(分担執筆、ナカニシヤ出版、2011年)、『紛争と和解の政治学』(共編著、ナカニシヤ出版、2013年)、『物語ベルギーの歴史─ヨーロッパの十字路』(中公新書、2014年)、他。

スティーブン・デイ(Stephen Day) 第5章
1968年生まれ。PhD(University of Warwick)。現在、大分大学経済学部教授。比較政治学、EU政治専攻。“The 2014 European Parliamentary Elections: Emerging signs of a shift from‘solidarity’ to ‘politicization’ at the EU-level”(『日本EU学会年報』第35号(2015)、77‒102頁。“Between ‘Containment’ and ‘Transnationalization’: Where Next for the Euro-parties?” (ActaPolitika, Vol. 49(1) 2014)、他多数。

明田ゆかり(あけだ・ゆかり)  第6章、第8章
1956年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業、慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。慶應義塾大学大学院法学研究科特別研究講師を経て、現在外務省経済局国際経済課課長補佐。国際関係論、EUの通商政策(EU政治)専攻。外務省では日EU・EPA 交渉に従事。『EUの国際政治』(分担執筆、慶應義塾大学出版会、2007年)、『EUのガヴァナンスと政策形成』(分担執筆、慶應義塾大学出版会、2009年)、他。なお本書の担当章で示された見解は筆者個人のものである。

武田 健(たけだ・けん)  第7章
1978年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業、同大学院政治学研究科修士課程修了、英国・ブリストル大学博士課程修了(Ph. D, Politics)。現在、早稲田大学政治経済学術院助教。政治学・国際関係論。「EU政府間交渉における威圧的な脅し」(『国際政治』第177号、2014年)、“Resolving the Impasse through Creative Solutions: The Role of Supranational Legal Experts in the Process of EU Treaty Reform” (Japanese Journal of European Studies, vol. 2, 2014)、他。

関根豪政(せきね・たけまさ)  第9章、コラム6
1981年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業、同大学院法学研究科博士課程修了。現在、名古屋商科大学コミュニケーション学部専任講師。国際経済法専攻。『EUの規制力』(分担執筆、日本経済評論社、2012年)、『EU環境法』(分担執筆、慶應義塾大学出版会、2009年)、他。

市川 顕(いちかわ・あきら)  第10章
1975年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業、同大学院政策・メディア研究科修士課程・同博士課程修了。博士(政策・メディア)。現在、関西学院大学産業研究所准教授、同副所長。国際公共経済学会理事、政策情報学会理事。国際関係論、拡大EU、環境ガバナンス専攻。『EUの社会経済と産業』(編著、関西学院大学出版会、2015年)、『体制転換とガバナンス』(共編著、ミネルヴァ書房、2013年)、『EU経済の進展と企業・経営』(分担執筆、勁草書房、2013年)、『グローバル・ガバナンスとEUの深化』(共編著、慶應義塾大学出版会、2011年)『ロシア・拡大EU』(分担執筆、ミネルヴァ書房、2011年)、他。

小山晶子(おやま・せいこ)  第11章
1973年生まれ。ストラスブール大学政治学博士後期課程修了。現在、東海大学教養学部国際学科特任准教授。政治学専攻。「移民系児童に対する教育政策の仏英比較─政治社会学的考察の意義」『国際教育』(第18号、2012年)、イヴ・デロワ『国民国家─構築と正統化』(共訳、吉田書店、2013年)、他。

福海さやか(ふくみ・さやか)  第12章
1973年生まれ。関西大学法学部政治学科卒業、英国・バーミンガム大学大学院政治科学国際学研究科MA・MPhil 修了、英国・ノッティンガム大学博士課程修了。現在、立命館大学国際関係学部准教授。安全保障論専攻。Cocaine Trafficking in Latin merica: EU and US Policy Responses(Ashgate、2008年)、他。

小松﨑利明(こまつざき・としあき)  第13章、コラム2
1974年生まれ。国際基督教大学教養学部卒業、同大学院行政学研究科博士後期課程博士候補資格取得退学。現在、聖学院大学政治経済学部助教。国際法・平和研究専攻。『紛争と和解の政治学』(分担執筆、ナカニシヤ出版、2013年)、『人間としての尊厳を守るために』(編著、聖学院大学出版会、2012年)、他。

小林正英(こばやし・まさひで)  第14章
1970年生まれ。筑波大学第三学群国際関係学類卒業、慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学、博士(法学)。現在、尚美学園大学総合政策学部准教授。国際安全保障論専攻。『冷戦後のNATO』(分担執筆、ミネルヴァ書房、2012年)、『ヨーロッパの政治経済・入門』(分担執筆、有斐閣、2012年)、他。

金 敬黙(キム・ギョンムク)  コラム7
1972年生まれ。韓国外国語大学卒業、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。現在、中京大学国際教養学部教授。平和研究・NGO研究専攻。『越境するNGO ネットワーク─紛争地域における人道支援・平和構築』(明石書店、2008年)、『NGO の源流をたずねて─難民救済から政策提言』(めこん、2011年)、他。

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