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2015/10/05
平等権のパラドクス
平等権の解釈はなぜ捩れてしまうのか
平等権の「中立的」解釈によって、救済が阻まれてしまう。アメリカでの判例を丹念に辿り、平等権の有効な保障を追求する。
●著者紹介
吉田仁美(よしだ ひとみ)
同志社大学大学院法学研究科博士後期課程退学。憲法学、アメリカ憲法学専攻。関東学院大学法学部教授、ニューヨーク州弁護士。『遺伝情報と法政策』(分担執筆、成文堂、2007年)、『アメリカ最高裁とレーンキスト・コート』(分担執筆、成文堂、2009年)、『スタート憲法』(編著、成文堂、2010年)、『エスプリ・ド・憲法』(共著、ナカニシヤ出版、2012)、『人権保障の現在』(編著、ナカニシヤ出版、2013)、ほか。
「はじめに」より
百数十年にわたる運用の中で,これらの公理としての平等・平等権の保障に関する規程は,その解釈において,規程に期待された役割を没却するような,問題のある志向を示すことが明らかになってきた。マイノリティーを保護するだけでなく,マジョリティーをも保護する「中立的な」解釈がめざされ,差別の認定を困難にし,救済施策等を阻害して,もともと目的とされたマイノリティーの保護に効果を発揮しなくなってしまうのである。
はじめに
第Ⅰ部 平等権の保障と財の再配分
第1章 第1部概説
第2章 最高裁判所と14条
1 平成以降の最高裁大法廷判決
2 国籍法事件
3 外国人の公務就任権
4 婚外子の法定相続分差別
第3章 実質的平等の理論
1 「法の下の平等」
2 初期の平等権分析と実質的平等
3 「生存権的基本権」の保障と平等権
4 検 討
5 平等権の課題
第Ⅱ部 アファーマティブ・アクションと平等保護のパラドクス
第4章 第2部概説
第5章 Adarand判決への途
1 はじめに
2 アファーマティブ・アクションの先例と合憲性審査基準の推移
第6章 アファーマティブ・アクションと厳格審査
1 はじめに
2 Adarand判決の概要と争点
3 アファーマティブ・アクションの合憲性基準
4 Adarand判決の意味したこと
第7章 Adarand 判決の影響とその後
1 Adarand判決の影響
2 Adarand判決後
第8章 Grutter 判決
1 事 実
2 判 旨
3 検 討
第9章 PICS 判決
1 事 実
2 判 旨
3 検 討
第10章 厳格審査の運用の厳格化
1 事 実
2 判 旨
3 検 討
第11章 Schuette 事件
1 事 実
2 判 旨
3 検 討
第12章 パラドクスからの脱却
1 アメリカ憲法理論の挑戦
2 日本国憲法14条への提案
おわりに
第Ⅰ部 平等権の保障と財の再配分
第1章 第1部概説
第2章 最高裁判所と14条
1 平成以降の最高裁大法廷判決
2 国籍法事件
3 外国人の公務就任権
4 婚外子の法定相続分差別
第3章 実質的平等の理論
1 「法の下の平等」
2 初期の平等権分析と実質的平等
3 「生存権的基本権」の保障と平等権
4 検 討
5 平等権の課題
第Ⅱ部 アファーマティブ・アクションと平等保護のパラドクス
第4章 第2部概説
第5章 Adarand判決への途
1 はじめに
2 アファーマティブ・アクションの先例と合憲性審査基準の推移
第6章 アファーマティブ・アクションと厳格審査
1 はじめに
2 Adarand判決の概要と争点
3 アファーマティブ・アクションの合憲性基準
4 Adarand判決の意味したこと
第7章 Adarand 判決の影響とその後
1 Adarand判決の影響
2 Adarand判決後
第8章 Grutter 判決
1 事 実
2 判 旨
3 検 討
第9章 PICS 判決
1 事 実
2 判 旨
3 検 討
第10章 厳格審査の運用の厳格化
1 事 実
2 判 旨
3 検 討
第11章 Schuette 事件
1 事 実
2 判 旨
3 検 討
第12章 パラドクスからの脱却
1 アメリカ憲法理論の挑戦
2 日本国憲法14条への提案
おわりに