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いかに死を受けとめたか

終末期がん患者を支えた家族たち

いかに死を受けとめたか

悲しみを予期しながら、終末期がん患者の死を看取った家族たちの声から、喪われつつある「看取りの文化」の継承を探求する。

著者 井藤 美由紀
ジャンル 心理学 > 臨床
社会・文化
医療・看護・福祉
出版年月日 2015/03/31
ISBN 9784779509285
判型・ページ数 4-6・394ページ
定価 本体3,200円+税
 

目次

はじめに――私的序章――  

第一章 がん患者の遺族に出会うまでの軌跡
1 その時、何が起こっていたのか?
(1)臨床分野における初期の悲嘆研究 
(2)近年の悲嘆研究の動向
2 本書で論じる「死」
3 日本の大都市圏で進行していた問題
4 「死」をめぐる世情の変化
5 出会いと別れがもたらした新たな展開
(1)タナトロジー研究会との出会い 
(2)父の死 
(3)セルフ・グリーフケア 
(4)新たな問題意識と新たな展開

第二章 なぜ、今、いかに「死」を受けとめたかを論じるのか?
1  日本の終末期医療が直面している問題
(1)病院で死ねない時代の到来 
(2)それでも病院で死にたい人々
(3)高齢者の実情――介護や看取りを頼める人がいない(4)一般的に流通している見解――最期は自宅では過ごせない 
(5)本質的な問題 
(6)問題解決に向けて
2 予期悲嘆研究の現状と課題
(1)予期悲嘆とは 
(2)末期患者を支える人の予期悲嘆 
(3)近年の予期悲嘆研究――性差と文化差の問題
(4)日本の予期悲嘆研究の現状と課題
3 家族介護者の看取り体験を伝える目的と意義
(1)遺族インタビュー調査の概要 
(2)何のために家族を看取った体験を論じるのか 
(3)今、家族介護者の看取り体験を論じる学術的意義

第三章 「死」の否認に起因する諸問題
1 親類縁者の予期悲嘆
(1)家族を振り回す親類縁者 
(2)「遠くから来た親戚」
2 伝わらなかった告知内容
(1)病名が認識できなかった家族 
(2)ボタンの掛け違い

第四章 余命告知の副作用
1 夫の在宅介護が楽しかった妻
(1)家族背景 
(2)誠司さんの病状経過 
(3)余命告知がもたらした変化 
(4)在宅ホスピスに寄せた期待 
(5)実際の在宅ホスピス 
(6)看取りを振り返って
2 夫婦の溝と対峙した夫
(1)家族背景 
(2)純子さんの病状経過 
(3)余命告知の衝撃 
(4)揃わない足並み①――緩和ケア病棟の印象 
(5)揃わない足並み②――「死」に対する姿勢 
(6)温度差の背景 
(7)悔い――もしも、どのような経過をたどるか予測できたら 
(8)夫婦それぞれの気持ちの変化 
(9)緩和ケア病棟への入院決断 
(10)看取りを振り返って
3 精神障害をもつ弟に寄り添い続けた兄
(1)家族背景 
(2)厚さんの病状経過 
(3)余命告知前の兄弟関係 
(4)余命告知が兄にもたらした変化 
(5)変わらぬ弟 
(6)その時、兄は何を感じていたのか 
(7)在宅療養への移行――弟の切望 
(8)厚さんの最期 
(9)認知機能に障害がある家族の終末期介護 
(10)看取りを振り返って
4  在宅での看取りは「家族に迷惑がかかるもの」なのか
(1)余命告知が突き崩すもの 
(2)終末期介護経験者が考える「迷惑」の内容 
(3)在宅での看取りを可能にする条件

第五章 死にゆく者の作法――「看取りの文化」のエッセンス(1)――
1 「嫁」の看取り
(1)家族背景 
(2)義母の大腸がん発覚から看取るまでの経緯 
(3)「嫁」の苦悩 
(4)闘いの終結 
(5)看取りを振り返って
2 社会的慣習と介護負担感
(1)家族介護者に「迷惑」をかけていたケース 
(2)看取り経験豊富な主介護者を支えるモチベーション
3 死にゆく者の作法
(1)「姑」の苦闘 
(2)人生の清算

第六章 家族に継承される「看取りの文化」――「看取りの文化」のエッセンス(2)――
1 同時に家族三人が末期患者になったケース
(1)家族背景 
(2)姉の末期がん発覚 
(3)長兄の病気発覚 
(4)姉の入院生活と死 
(5)残された家族のその後 
(6)麻里さんの苛立ち――「全然、辛いってことはないです」
2 看取りを支える死生観
(1)父親から受けた影響 
(2)親類縁者から受けた影響 
(3)麻里さんの死生観 
(4)麻里さんの死生観を育んだもの
3 「介護は辛いものだ」という考え方への抵抗感の由来
(1)「全然辛くなかった」と言い切ったもう一人の家族介護者 
(2)上村麻里さんと中島たまみさんの共通点 
(3)身近な人の「死」が育てる観念

第七章 「看取りの文化」の再構築に向けて
1 国内の「看取りの文化」の現状
(1)一九九四年の「大学生とその両親の死の不安と死観」(2)時代の変わり目 
(3)「看取り」に対する意識は欧米化したのか?
2 日本の家族の現在
(1)あなたにとって一番大切と思うものはなんですか?(2)日本の高齢者の特徴 
(3)家族に遠慮する高齢者の盲点
3 安心して最期を迎えられる地域社会をつくるために
(1)子どもにとっての「死」 
(2)高齢者の役割
4 結  び
(1)「何かものすごく大変なこと」の正体 
(2)高齢者問題を考える際の要諦 
(3)なぜ、家族による高齢者介護に対する共通認識は変わったのか 
(4)「看取りの文化」の再構築に向けて

あとがき  

資料 調査の概要
1 インタビュー調査と研究の方法
(1)筆者の立ち位置 
(2)調査対象
(3)調査手順
(4)調査内容
(5)調査方法
(6)分析手順
(7)論文化 
(8)客観的妥当性の吟味 
(9)倫理的配慮
2 調査結果
(1)調査協力者に関する基本情報
(2)本調査の調査協力者の特徴

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内容説明

そのときは、いつでも、誰にでも訪れる。

余命告知を受けた終末期がん患者――悲しみを予期しながら、その死を看取った家族たちの声に耳を傾け、喪われつつある「看取りの文化」の継承を探求する。

 

井藤美由紀(いとう みゆき)

京都大学大学院人間・環境学研究科修了。
博士(人間・環境学)。
佛教大学・園田学園女子大学非常勤講師。
著書:『どう生き、どう死ぬか―現場から考える死生学』(共著、弓箭書院、2009年)、論文「亡き人との〈絆〉と宗教の力」(『論集』、2012年)他。

 

亡くなる前の夜まで一緒食べてたからね。普通一週間ぐらいこん睡状態でしょ。姉なんか一週間ぐらいこん睡状態で全然しゃべれなかったの、主人前の日まで……ね、食べてたんですよね。まぁ、ゆっくり食べるからね、「早く食べなよ」なんて。(「第四章 余命告知の副作用」より)

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