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世界の手触り

フィールド哲学入門

世界の手触り

多様なフィールドで、「他者」とともに考える、フィールド哲学への誘い。菅原和孝と池澤夏樹、鷲田清一との熱気溢れる対談を収録。

著者 佐藤 知久
比嘉 夏子
梶丸 岳
ジャンル 哲学・倫理 > 哲学
教育・文学 > 文学
社会・文化 > 社会学
地理学・人類学 > 人類学
教養・共通科目 > 教養科目
出版年月日 2015/04/30
ISBN 9784779509100
判型・ページ数 4-6・272ページ
定価 本体2,600円+税
 

目次

公開対談「認識は旅をする」(菅原和孝×池澤夏樹)

1 紹  介  
2 旅のはじまり  
3 ギリシャとエチオピア  
4 旅の苦労  
5 人類学者へ、小説家へ:それぞれの歩み  
6 沖縄を考える  
7 人間と動物のボーダー  
8 「自己」を語る/語らない  

第1章 フィールド哲学とは何か――思考するために適した場所で考えること(佐藤知久)

1 はじめに  
2 フィールドワークの流行と秘教化→秘境化 
3 フィールドに行く動機の不在  
4 実践の累積としての非哲学の必要性  
5 哲学における孤独あるいは無矛盾性の危険  
6 思考のための場所はどこにあるか  
7 〈なじみ〉の切断から広がる地平  
8 どこで思考を起動させるか  

第2章 現成する場所、立ち現われる身体――掛け合い歌における身体の二重性(梶丸 岳)

1 掛け合い歌と身体  
2 声の場所を現成する  
3 二重の身体の立ち現われ  
4 二重のパースペクティヴを戯れる  
5 おわりに  

第3章 創発されるコミュニケーション――手話サークルにおける対面コミュニケーションの分析から(佐野文哉)

1 はじめに  
2 コミュニケーションとはなにか
3 ろう者や手話にかんする先行研究  
4 調査対象の概要  
5 資源の調整による「復元」の達成  
6 創発されるコミュニケーション  
7 おわりに  

第4章 縛りからシバリへ――もうひとつのクールジャパン(田中雅一)

1 はじめに  
2 異化する身体へ  
3 緊縛とはなにか?  
4 方  法  
5 パフォーマンス  
6 緊縛をめぐる論争  
7 身体的伝統の普及  
8 おわりに  

第5章 『密閉都市のトリニティ』の祈り――シンメトリーの希望に向けて(大村敬一)

1 未来の絆――密閉都市の祈り  
2 四月は残酷な月で――シンメトリーの悪夢のはじまり  
3 夏にふれてごらん――シンメトリーからトリニティへ  
4 愚者の聖戦――デウス・エクス・マキーナ(機械仕掛けの神)  
5 穫りいれがすむと――果たしえぬシンメトリーの苦しみと悦び  
6 新たなる旅立ち――あなたという名の聖痕を抱きしめて  

第6章 時空を超えて暮らしを包む住居――モンゴル・ゲルのフレキシビリティー(風戸真理)

1 ゲルに住む人びと  
2 国家規格で定められたゲル  
3 結婚と新ゲル  
4 ゲルのメンテナンス  
5 機会主義的な生き方を具現化する住居  

第7章 フィールドワークの終わり、フィールド哲学のはじまり――身体の根源的受動性と変容可能性から(松嶋 健)

1 はじめに 
2 身体の変容可能性  
3 〈近傍〉としてのフィールド  

第8章 普遍主義と相対主義を「跨ぐ」――G・ベイトソンと菅原和孝、あるいは科学のトリックスターとしての文化人類学者(春日 匠)

1 科学のトリックスター  
2 世界の捉え方の三類型  
3 もう一つの論理学とその創造性――グレゴリー・ベイトソン  
4 メタコミュニケーションの揺れ  
5 自然界における実存主義  
6 科学主義と「自然」構築主義  

第9章 神霊の〈秘匿-獣化〉とプレートの〈召喚〉――不可視の存在者たちの実在化の技法をめぐって(森下 翔)

1 表象と構築  
2 介  入  
3 召  喚  
4 秘匿-獣化  
5 実在化の技法  

第10章 〈猿=人〉という問い(大澤真幸)

1 奇  書  
2 最も基本的な問い  
3 猿=人  
4 トカゲの悲哀  

第11章 鏡なき社会の対他存在論(菅原和孝)

1 フィールド哲学としての人類学へ向けて 
2 行動的弁解  
3 サルトルの対他存在論  
4 鏡なき社会から  
5 鏡の呪縛から世界の肉へ――概念の展開  

対談 「フィールド哲学と臨床哲学」(菅原和孝×鷲田清一)

1 フィールド哲学と臨床哲学  
2 サルトルとメルロ=ポンティ  
3 メルロ=ポンティを引用するとき  
4 アクター・ネットワーク・セオリー批判  
5 メルロ=ポンティと科学  
6 ことばの表情、ことばの肌理
7 フィールドワークをめぐって  
8 哲学の現場 

コラム
コラム1 交響するコミュニケーションの思想――菅原人類学の〈わかりづらさ〉とその可能性(中谷和人)  
コラム2 見えるようになる――他者の生に触れる身がまえ(渡辺 文)  
コラム3 僥倖と失敗(佃 麻美)  
コラム4 木曜日に会う菅原さん(三原弟平)  
コラム5 〈ズワズラ〉考(江口重幸)  
コラム6 めくるめく感情生活の日々とフィールドワーク(田村うらら) 

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内容説明

多様なフィールドで、「他者」とともに考える、フィールド哲学への誘い。

人類学者菅原和孝が池澤夏樹と「旅」について、「文学」について、鷲田清一とメルロ=ポンティについて、サルトルについて、「フィールドワーク」について、大いに語る熱気溢れる対談。そして「他者たち」とともに考えるフィールド哲学の磁場に惹かれ集った大澤真幸をはじめとする多彩な執筆陣の寄稿によるひと味ちがう「フィールド」への誘い。

 

鷲田清一 対談「フィールド哲学と臨床哲学」より

表現はされないけれども、職人さんだったら職人さん、料理人だったら料理人、坊さんやったら坊さんでも、これだけは生きる上ではずせないという大事なものをつかんでいる。そしてそれを言語で表現することはできないかもれないけれども、ものすごい厳しい評価軸をもっている。それをフィールドワークして、聞いて、言語化していくというのが哲学ちがうんか、ということで、ぼくは「聴く」哲学、臨床哲学をはじめたんです。

 

池澤夏樹 公開対談「認識は旅をする」より

で、最後に、帰れば帰れるところまで来て、彼はどうしようか、これで帰って何になるか考える。そうだ、この間の自分の体験を文章でいったん定着してみて、それならそれをもって帰れる。つまり自分のその漂流、漂着と停滞を意味づけられる。それによって「帰ること」を自分に許そうと思って、書きはじめる。そういう形にしたんですよね。それは境界線を越えていったものが戻る時に何かお土産がいるというか。

 

執筆者紹介(執筆順、*は編者)
佐藤知久 * さとう ともひさ
担  当:はじめに、公開対談「認識は旅をする」、第1章、対談「フィールド哲学と臨床哲学」
略  歴:一九六七年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程研究指導認定退学。博士(人間・環境学)。京都文教大学総合社会学部准教授。専門は文化人類学。
主要著作:『フィールドワーク2・0』(風響社、二〇一三年)、『はじまりとしてのフィールドワーク』(共編、昭和堂、二〇〇八年)他。

池澤夏樹 いけざわ なつき 
作家。一九四五年、北海道帯広生まれ。一九八四年南の島へ漂着した主人公を描いた小説『夏の朝の成層圏』(中央公論社)を発表。以来、国内外、世界各地を旅し、さまざまな地域の自然と人びとの暮らしをその小説世界の基本的な土台におりこみながら、執筆活動を続けている。代表作に南洋を舞台にした大作、『マシアス・ギリの失脚』(一九九三年、新潮社)など。

菅原和孝 すがわら かずよし
担  当:公開対談「認識は旅をする」、第11章、対談「フィールド哲学と臨床哲学」
略  歴:一九四九年生まれ。京都大学大学院理学研究科修了。理学博士。京都大学大学院人間・環境学研究科教授。専門は人類学。
主要著作:『ことばと身体―「言語の手前」の人類学』(講談社、二〇一〇年)、『ブッシュマンとして生きる―原野で考えることばと身体』(中央公論新社、二〇〇四年)、『感情の猿=人』(弘文堂、二〇〇二年)他。

梶丸 岳 * かじまる がく
担  当:第2章
略  歴:一九八〇年生まれ。京都大学人間・環境学研究科博士後期課程単位取得満期退学。京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター非常勤講師。専門は文化人類学。

主要著作:『山歌の民族誌―歌で詞藻(ことば)を交わす』(京都大学学術出版会、二〇一三年)他。

中谷和人 なかたに かずと
担  当:コラム1
略  歴:一九八一年生まれ。京都大学人間・環境学研究科博士後期課程満期修了。日本学術振興会特別研究員PD。専門は文化人類学。
主要著作:「芸術のエコロジーへむけて」
(『文化人類学』第七七巻四号、二〇一三年)、「「アール・ブリュット/アウトサイダー・アート」をこえて」(『文化人類学』第七四巻二号、二〇〇九年)他。

佐野文哉 さの ふみや
担  当:第3章
略  歴:一九八八年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程。専門は人類学。

渡辺 文 わたなべ ふみ
担  当:コラム2
略  歴:一九八一年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(人間・環境学)。立命館大学政策科学部助教。専門は人類学。
主要著作:『オセアニア芸術―レッド・ウェーヴの個と集合』(京都大学学術出版会、二〇一四年)他。

田中雅一 たなか まさかず
担  当:第4章
略  歴:一九五五年生まれ。ロンドン大学(経済政治学院)博士課程、Ph.D. 取得。京都大学人文科学研究所教授。専門は文化人類学。
主要著作:『文化人類学の誘惑』(世界思想社、二〇一五年)、『癒しとイヤラシ―エロスの文化人類学』(筑摩書房、二〇一〇年)他。

大村敬一 おおむら けいいち
担  当:第5章
略  歴:一九六六年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程満期修了。博士(文学)。大阪大学大学院言語文化研究科准教授。専門は人類学。
主要著作:『カナダ・イヌイトの民族誌―日常的実践のダイナミクス』(大阪大学出版会、二〇一三年)、『宇宙人類学の挑戦―人類の未来を問う』(共編著、昭和堂、二〇一四年)他。

風戸真理 かざとまり
担  当:第6章
略  歴:一九七三年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(人間・環境学)。北星学園大学短期大学部・専任講師。専門は人類学。
主要著作:『現代モンゴル遊牧民の民族誌』(世界思想社、二〇〇九年)他。

佃 麻美 つくだ あさみ
担  当:コラム3
略  歴:一九八六年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程。
専門は文化人類学。主要著作:「中央アンデス高地ペルーにおけるアルパカの「遺伝的改良」と種畜の取引」(『年報人類学』4号、二〇一四年)、「接触領域としてのアルパカ品質改良」(『コンタクト・ゾーン』五号、二〇一二年)。

松嶋 健 まつしま たけし
担  当:第7章
略  歴:一九六九年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。日本学術振興会特別研究員/国立民族学博物館外来研究員/多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。専門は人類学。
主要著作:『プシコ ナウティカ―イタリア精神医療の人類学』(世界思想社、二〇一四年)、『自然学―来るべき美学のために』(共著、ナカニシヤ出版、二〇一四年)、『身体化の人類学―認知・記憶・言語・他者』(共著、世界思想社、二〇一三年)他。

三原弟平 みはら おとひら
担  当:コラム4
略  歴:一九四六年生まれ。京都大学文学修士。四天王寺大学非常勤講師。専門はドイツ文学。
主要著作:『カフカ・エッセイ』(平凡社、一九九〇年)、『カフカとサーカス』(白水社、一九九一年)、『思想家たちの友情―アドルノとベンヤミン』(白水社、二〇〇〇年)他。

春日 匠 かすが しょう
担  当:第8章
略  歴:一九七三年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程満期退学。京都大学研究員。専門は文化人類学、科学技術論。
主要著作:『小笠原学ことはじめ』(共著、南方新社、二〇〇二年)、『平和研究入門』(共著、大阪大学出版、二〇一四年)他。

森下 翔 もりした しょう
担  当:第9章
略  歴:一九八七年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程。専門は文化人類学、科学技術の人類学。主要著作:「不可視の世界を畳み込む:地球物理学における観測とモデリング」(『文化人類学』七八巻四号)他。

大澤真幸 おおさわ まさち
担  当:第10章
略  歴:一九五八年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。社会学博士。専門は社会学。
主要著作:『恋愛の不可能性について』(二〇〇五年、ちくま学芸文庫)、『ナショナリズムの由来』(講談社、二〇〇七年)、『自由という牢獄―責任・公共性・資本主義』(岩波書店、二〇一五年)他。

江口重幸 えぐち しげゆき
担  当:コラム5
略  歴:一九五一年生まれ。東京大学医学部医学科卒業。東京武蔵野病院精神科医。専門は精神医学(文化精神医学・医療人類学・精神医学史)。
主要著作:『シャルコー』(勉誠出版、二〇〇七年)、『ナラティヴと医療』(共編著、金剛出版、二〇〇六年)、クラインマン『病いの語り』(共訳、誠信書房、一九九六年)他。

田村うらら たむら うらら
担  当:コラム6
略  歴:一九七八年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(人間・環境学)。金沢大学人間社会研究域附属国際文化資源学研究センター特任助教/大学院リーディングプログラム文化資源マネージャー養成プログラム担当教員。専門は経済人類学・モノ研究。
主要著作:『トルコ絨毯が織りなす社会生活―グローバルに流通するモノをめぐる民族誌』(世界思想社、二〇一三年)、『フィールドワークへの挑戦―〈実践〉人類学入門』(共著、世界思想社、二〇〇六年)他。

鷲田清一 わしだ きよかず 
哲学者。一九四九年、京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。大阪大学教授・大阪大学総長などを経て、大谷大学教授、せんだいメディアテーク館長。著書として、『現象学の視線―分散する理性』(講談社学術文庫)、『モードの迷宮』(ちくま学芸文庫)、『「聴く」ことの力―臨床哲学試論』(阪急コミュニケーションズ)、『「ぐずぐず」の理由』(角川学芸出版)など多数。近著に『哲学の使い方』(岩波新書)。二〇一五年より京都市立芸術大学学長に就任予定。

比嘉夏子 * ひが なつこ
略  歴:一九七九年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程満期退学。博士(人間・環境学)。日本学術振興会特別研究員(PD)/国立民族学博物館外来研究員。専門は人類学。
主要著作:『現代オセアニアの「紛争」―脱植民地期以降のフィールドから』
(共著、昭和堂、二〇一三年)『フィールドワークへの挑戦―“実践”人類学入門』(共著、世界思想社、二〇〇六年)他。

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