国際政治のモラル・アポリア

戦争/平和と揺らぐ倫理

国際政治のモラル・アポリア

人道的介入の是非、対テロ戦争における標的殺害は許されるのかなど、国際社会の直面する道義的難問に気鋭の政治学者たちが挑む。

著者 高橋 良輔
大庭 弘継
ジャンル 法律・政治  > 法哲学・政治思想
出版年月日 2014/06/30
ISBN 9784779508547
判型・ページ数 A5 ・ 368ページ
定価 3,850円(税込)

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国際社会が直面する道義的難問に挑む

人道的介入がもたらす非人道性、対テロ戦争における標的殺害の是非、平和構築や民主化の直面する矛盾――現代の国際社会が直面する戦争と平和をめぐる「道義的難問」に、気鋭の政治学者たちが挑む。

【著者紹介】
編者:
高橋良輔(たかはし・りょうすけ)

佐賀大学文化教育学部准教授。青山学院大学大学院国際政治経済学研究科一貫性博士課程修了。政治理論・国際関係論・政治社会学専攻。『国際政治哲学』(共編著、ナカニシヤ出版、2011年)、『政治の発見8 越える』(分担執筆、風行社、2010年)、他。

大庭弘継(おおば・ひろつぐ)
南山大学社会倫理研究所第一種研究所員、同大学総合政策学部専任講師。元海上自衛官(1等海尉)。九州大学大学院比較社会文化学府博士後期課程単位修得退学。国際政治学・国際安全保障・政治哲学専攻。

執筆者:
小松志朗(こまつ・しろう)
早稲田大学政治経済学術院助教。早稲田大学大学院政治学研究科博士後期課程単位取得退学。国際関係論。

千知岩正継(ちぢいわ・まさつぐ)
北九州市立大学国際環境工学部非常勤講師。神戸大学大学院国際協力研究科修士課程修了。国際関係論・国連研究。

佐藤史郎(さとう・しろう)
大阪国際大学国際コミュニケーション学部専任講師。立命館大学大学院国際関係研究科博士後期課程修了。国際関係論・安全保障論。

眞嶋俊造(まじま・しゅんぞう)
北海道大学大学院文学研究科応用倫理研究教育センター准教授。英バーミンガム大学グローバルエシックス研究所博士後期課程修了。国際倫理学・グローバルエシックス・戦争倫理学。

中内政貴(なかうち・まさたか)
大阪大学大学院国際公共政策研究科特任講師。大阪大学大学院国際公共政策研究科博士後期課程単位取得退学。平和構築・紛争予防・民族問題。

杉浦功一(すぎうら・こういち)
和洋女子大学人文社会科学系准教授。神戸大学大学院国際協力研究科博士課程修了。国際関係論・政治学。

池田丈佑(いけだ・じょうすけ)
富山大学人間発達科学部准教授。大阪大学大学院国際公共政策研究科博士後期課程修了。国際関係理論・グローバル倫理学。



杉本俊介(すぎもと・しゅんすけ)
京都大学大学院文学研究科非常勤講師。倫理学。

政所大輔(まんどころ・だいすけ)
神戸大学大学院法学研究科助教。国際関係論・国連研究。

上野友也(かみの・ともや)
岐阜大学教育学部准教授。政治学・国際政治学。

溝渕正季(みぞぶち・まさき)
名古屋商科大学経済学部専任講師。中東地域研究・国際政治学・安全保障論。

山田真司(やまだ・しんじ)
上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科博士前期課程修了。国際関係論・危機管理・安全保障論。

角田和広(つのだ・かずひろ)
明治学院大学大学院政治経済学研究科博士後期課程。国際関係理論・国際関係論史。

木村周平(きむら・しゅうへい)
東京大学大学院総合文化研究科博士課程中退。文化人類学・科学技術社会論・災害研究。

田中慎吾(たなか・しんご)
大阪国際大学国際コミュニケーション学部非常勤講師。国際政治・外交史。

弘田忠史(ひろた・ただし)
関西学院大学大学院法学研究科研究員。国際関係論・安全保障論。

長嶺義宣(ながみね・よしのぶ)
内閣府国際平和協力本部研究員。

奥田太郎(おくだ・たろう)
南山大学社会倫理研究所第一種研究所員、同大学人文学部准教授。倫理学・応用倫理学。

クロス京子(くろす・きょうこ)
立命館大学R-GIRO研究員。国際関係論。

田中(坂部)有佳子(たなか(さかべ)・ゆかこ)
早稲田大学政治経済学術院助手。比較政治学。

山本 圭(やまもと・けい)
岡山大学大学院教育学研究科専任講師。現代政治理論・政治思想。

山尾 大(やまお・だい)
九州大学大学院比較社会文化研究院専任講師。中東政治・比較政治学・国際政治学。

高澤洋志(たかざわ・ひろし)
日本学術振興会特別研究員。国際政治思想・国際関係論。

堀内めぐみ(ほりうち・めぐみ)
元国際交流基金非常勤研究員。国際政治理論・紛争研究・国際文化論。

辻田俊哉(つじた・としや)
大阪大学コミュニケーションデザイン・センター特任助教。国際政治学・紛争解決論。

川村仁子(かわむら・さとこ)
立命館大学国際関係学部准教授。政治理論・政治思想史・国際関係論。

赤星 聖(あかほし・しょう)
日本学術振興会特別研究員。国際関係論・強制移動研究。

 序 章 国際政治と倫理の揺らぎ (高橋)
      はじめに――天使とけだものの間
      1 モラル・アポリアとは何か
      2 先人たちのまなざし
      3 本書の見取り図
      4 モラル・アポリアを問うことの実践的意義
      おわりに――本書の使い方

   【コラム0-1】功利主義と義務論 (杉本)

第Ⅰ部 戦争のアポリア

 第1章 人道的介入――避けられない非人道性 (小松・大庭)
      はじめに
      1 二つのパラドクス
      2 コソヴォ
      3 コンゴ
      4 リビア
      おわりに

   【コラム1-1】保護する責任とは何か (眞嶋)
   【コラム1-2】「保護する責任」という理念の生成 (政所)
   【コラム1-3】1990年代の人道的介入:ソマリア、ボスニア、ルワンダ (上野)

 第2章 対テロ戦争――終わりが遠ざかる戦争 (千知岩・大庭)
      はじめに
      1 キラー・ドローンによる標的殺害のモラル・パラドクス
      2 こころをつかむ戦い(COIN)の困難
      3 増殖する敵と任務
      おわりに

   【コラム2-1】現代国際社会におけるテロリズムとは何か (山田)
   【コラム2-2】問われる「国際社会」の結束:ソマリア内戦と海賊への対処 (角田)

 第3章 核兵器――非人道性のアイロニーとパラドクス (佐藤)
      はじめに
      1 核兵器の使用をめぐる道義性
      2 核兵器をめぐるモラル・パワー
      3 モラル・アポリア
      おわりに

   【コラム3-1】原発事故があらわにしたモラル・アポリア (木村)
   【コラム3-2】日本の核エネルギー利用と反核感情 (田中)


 第4章 防衛戦争――人々を守らない戦争 (眞嶋)
      はじめに
      1 国家、戦争、人々の保護
      2 事例――太平洋戦争
      おわりに
   【コラム4-1】赤十字国際委員会とは (長峯)
   【コラム4-2】「平和」という感覚のアポリア (奥田)

 第4章補論 太平洋戦争という悲劇――パラドクスとアイロニー(大庭)

第Ⅱ部 平和のアポリア
 
 第5章 平和構築――国家の枠組みをめぐる合意の不在 (中内)
      はじめに
      1 平和構築概念の変容
      2 平和構築をめぐるモラル・アポリア
      3 国家への枠組みをめぐる不合意
      おわりに
   【コラム5-1】移行期正義 (クロス)
   【コラム5-2】東ティモールにおける国家建設の行方 (田中(坂部))

 第6章 民主化――デモクラシーの実現可能性 (杉浦)
      はじめに
      1 グローバル化による国家デモクラシーの危機
      2 国際社会による民主化支援の限界
      おわりに
   【コラム6-1】現代デモクラシー論のアポリア (山本)
   【コラム6-2】戦後イラクにおける民主化のディレンマ (山尾)
   【コラム6-3】2013年カンボジア総選挙における選挙監視活動 (杉浦)


 第7章 国家主権――自由と安全の動的平衡 (高橋)
      はじめに
      1 国家主権をめぐるアイロニー
      2 創設のパラドクス
      3 決定主体のジレンマ
      4 独立性をめぐるアンチノミー
      5 モラル・アポリアの星座
      おわりに
   【コラム7-1】国家主権をめぐる議論状況 (高橋)
   【コラム7-2】「ドル化」のモラル・アポリア (高澤)
   【コラム7-3】キプロス共和国というアンチノミー (堀内)
   【コラム7-4】パレスチナ問題と主権国家への歩み (辻田)


 第8章 人権――人を救えないとき (池田)
      はじめに
      1 権利の限界
      2 人間の限界
      3 倫理の限界
      おわりに
   【コラム8-1】神と動物 (川村)
   【コラム8-2】庇護権 (赤星)

 終 章 アポリアとの対峙 (大庭)
      はじめに
      1 コラムの紹介
      2 モラル・アポリアの消滅
      3 本書のメッセージ
      おわりに


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