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倫理学とフェミニズム

ジェンダー、身体、他者をめぐるジレンマ

倫理学とフェミニズム

性的マイノリティ達の声によって揺らぐ、倫理学とフェミニズムの現状を見据え、両者を架橋する先にフェミニンの臨床哲学を拓く

著者 金井 淑子
ジャンル テキスト
哲学・倫理 > 倫理学
社会・文化 > ジェンダー
出版年月日 2013/06/01
ISBN 9784779507410
判型・ページ数 4-6・368ページ
定価 本体2,300円+税
 

目次

はじめに――「意味ある他者」を鏡として――

I リベラリズムとパターナリズムのはざまで
   ――性/愛の講義の七日間――          

  第一日 ジェンダーを脱ぐ
       ――「性はフェイク」とはいいますが――
  第二日 ためらいのセックスワーク論
       ――理論と感情のせめぎあい――
  第三日 倫理と文学批評
       ――セクシュアリティの地殻変動を聴き取る臨床の場に――
  第四日 性に憑かれた/疲れた近代人
       ――性からの自由/性への自由――
  第五日  両義性の倫理へのまなざし
       ――「状況がつくる女」の内的葛藤へ―― 
  第六日 性の議論の新しい土俵づくりへ
       ――パターナリズムか自己決定か――
  第七日 フェミニニティ・母の領域へ
       ――倫理を下支えする感情――

II ジェンダー

  第一章  身体・差異・共感をめぐるポリティクス
       ――理解の方法的エポケーと新たな倫理的主体――
    1 性差に還元された差異
    2 社会構築主義とジェンダー・ポリティクス
       ――「身体」の棄却――
    3 科学に差し出された身体 
       ――生殖の欲望と政治――
    4 身体への新たな統制と優生的選択への欲望
    5 ドイツのバトラー論争
       ――女性の身体を「脱構築」で切り刻むな!――
    6 「状況を生きる身体」、それぞれのリアリティへ
    7 身体へのまなざし
       ――理解の方法的エポケーとエクリチュール・フェミニン――

  第二章  自然から浮遊するジェンダー
        ――性差の本質論的還元主義批判のアポリア――    
    1 フェミニズムの困惑・倫理学の困難
    2 「女は女に生まれない。女に作られる」
        ――ボーヴォワールのテーゼが投げかけたもの――
    3 モダンの原理
       ――「男と女を分ける」ジェンダー・ヒエラルキー――
    4 フェミニズムにおける“ジェンダー”の発見
    5 性の三層「Sex・Gender・Sexuality」
    6 ジェンダーと倫理

  第三章 モダン/ポストモダンの知とフェミニズム・ジェンダー論
                      
    1 ポストモダンとフェミニズムの「曖昧な」関係
    2 私のポストモダン・フェミニズムへの関心
       ――近代との対峙――
    3 フェミニズムとポストモダンの知
    4 ポスト構造主義ジェンダー論の位置から
    5 ジェンダー問題系/欲望・セクシュアリティの関わる問題系
    6 触発する知としてのジェンダー概念の生成的・拡張的な展開

III 身 体

  第四章 性別二元制のあわいを生きること
       ――TG/TSからの、フェミニズムと倫理学への攪乱的・挑発的問い――
    1 「性の後天性」仮説に依拠したフェミニズムの盲点
    2 トランスジェンダーからの攪乱的問い
    3 日本のトランスセクシュアル(TS)の状況から
    4 「ブレンダと呼ばれた少年」
        ――J・マネー仮説をめぐって――
    5 語られない性の問題へ
       ――少年愛者の「痛み」、ロリコン・ミニスカへの欲望――
    6 欲望系の問題をフェミニズムはどう扱うのか

  第五章 バックラッシュをクィアする
       ――フェミニズムの内なるフォビアへ――
    1 私のクィアとの出会い
    2 フェミニズム・ミーツ・クィア
    3 制度の暴力としてのフォビア
    4 フェミニズムが取りこぼしたもの
       ――身体・欲望――
    5 やおい的なまなざしの中に、何をみるか
    6 やおいの「腐女子・わたし」とリブの「女・わたし」
       ――ジェンダー秩序を攪乱する主体として――

IV 他 者

  第六章 フェミニズムの他者
       ――外部の他者/内部の他者〈化〉――           
    1 マジョリティの女を相対化する語り
    2 マイノリティとは誰か? 誰がマイノリティを構築しているのか?
    3 セクシュアルマイノリティという他者の表象、フォビア
    4 「第三世界の女性」という他者表象
    5 マイノリティの中の差別・排除
       ――ある在日韓国人レズビアンの怒り――
    6 差異の境界線とアイデンティティの複数性
    7 「理解のエポケー」の少し先に

  第七章 フェミニンの哲学と「他者を内在化させた女という一人称」
       ――臨床知から、グローバル化する世界への対抗軸を求めて――
    1 日本という思想の地政学的な位置から
    2 日本社会と臨床哲学
    3 ナラティヴという共同性の意味
    4 東アジアの女性の連帯と歴史的過去の「被害の分断」
    5 「方法としてのフェミニズム」という問題設定について
    6 「方法としての日本」、もっともマイナーな場から
    7 ケア関係に働く抑圧の委譲関係
    8 抑圧と暴力へのナラティヴ/トラウマ・アプローチ
       ――リブへの原点回帰へ――
    9 他者を内在化させた「わたし」へ
    10 「フェミニンの哲学」へ

  おわりに
   ――「性/生」の質の向上へ――

 参考文献
 あとがき
 初出一覧  
 事項索引  
 人名索引 

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内容説明

性的マイノリティたちの声によって揺らぐ、倫理学やフェミニズムの現状を見据えつつ、
ポスト構造主義ジェンダー論からクィア理論の問題意識にも踏み入りながら、
倫理学とフェミニズムを架橋する先にフェミニンの臨床哲学を拓く。

【著者紹介】

金井淑子(かない・よしこ)

東京教育大学大学院文学研究科修士課程修了。立正大学文学部哲学科教授。哲学・倫理学専攻。

著書:
『異なっていられる社会を――女性学/ジェンダー研究の視座』(明石書店,2008年),『女性学の挑戦――家父長制・ジェンダー・身体性へ』(明石書店,1997年),『フェミニズム問題の転換』(勁草書房,1992年),『女性学の練習問題――“Hanako”と“婦人”のはざまで』(明石 書店,1991年),『ポストモダン・フェミニズム――差異と女性』(勁草書房,1989年),『転機に立つフェミニズム』(毎日新聞社,1985年),『身体のアンデンティティ・トラブル――ジェンダーとセクシュアリティの二元論を超えて』〔編著〕(明石書店,2008年),『ファミリー・トラブル――近代家族/ジェンダーのゆくえ』〔編著〕(明石書店,2007年),『岩波・応用倫理講義5 性/愛』〔編著〕(岩波書店,2004年),『身体のエシックス/ポリティクス』〔編著〕(ナカニシヤ出版,2002年),『倫理学とフェミニズム』(ナカニシヤ出版,2013年),『依存と自立の倫理』(ナカニシヤ出版,2011年)他。

 

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