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社会問題の変容

賃金労働の年代記

社会問題の変容

今日の社会的危機の根源は何か。賃金労働の軌跡を中世から辿り、社会的なものの成立とその危機を活写する古典的大著、待望の完訳。

著者 ロベール・カステル
前川 真行
ジャンル 哲学・倫理 > 現代思想
法律・政治 > 法哲学・政治思想
経済・経営 > 経済学
社会・文化 > 社会学
出版年月日 2012/03/01
ISBN 9784779506376
判型・ページ数 A5・634ページ
定価 本体6,500円+税
在庫 品切れ・重版未定
 

目次

 前書き
 比較のための覚え書き

第一部 後見から契約へ
 
 第一章 近接性に基づく保護
       第一次社会関係
       福音の伝説
       隣人はわが家族なり
       扶助の体系

 第二章 土地に縛られた社会
       一三四九年
       封建社会の転換
       この世に用なき者
       浮浪者とプロレタリア
       鎮圧、抑止、予防

 第三章 名もなき賃金労働者
       同業組合的規範
       同業組合の刻印
       規制労働と強制労働
       地を這う人びと
       賦役労働というモデル

 第四章 自由主義的近代
       大衆的脆弱性
       労働の自由
       「神聖にして不可侵の責務」
       分裂した権利
       ユートピア的資本主義

第二部 契約から身分規定へ
 
 第五章 国家なき政治
       憐れむべき人びと
       後見関係の回帰
       パトロナージュと経営者
       転倒したユートピア

 第六章 社会的所有
       新たな前提
       義務・強制という問題
       財産か労働か
       移転所得

 第七章 賃金労働社会
       新たな賃労働関係
       工場労働者という境遇
       失われた地位
       賃金労働という境遇
       成長する国家

 第八章 新たな社会問題
       とぎれた軌道
       社会的余剰人員
       参入支援、あるいはシジフォスの神話
       未来の危機

 結 論 負の個人主義


 訳者解説
 索引〔人名/事項〕

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内容説明

「社会問題」の根源に迫るロベール・カステルの記念碑的大著、
待望の完訳


失業、労働条件の不安定化、新たな貧困、
そして「負の個人主義」と社会的紐帯の喪失がもたらす社会の分断。
これら今日の社会的危機の根源は何か。
賃金労働の軌跡を14世紀から捉え返し、賃金労働社会と「社会的なもの」の成立の過程、
そして福祉国家「以後」の現在の危機の根源を明らかにするロベール・カステルの主著、待望の完訳

 

現在の個人主義化のプロセスを通じてみられる矛盾は、このように深刻なものである。この矛盾が社会に突きつけているのは、みずからを統治不可能なものとしかねない分断化の恐れである。すなわち、社会的地位の安定ゆえに個人主義と自律を結びつけることのできる者を一方の極に、そして個人として存在することが手がかりの不在と保障の欠落とを意味してしまうがために、それを十字架として背負わなければならない者をもうひとつの極へと置く、社会の二極化の恐れである。
(本書「結論 負の個人主義」より)

【著者紹介】
著者:
ロベール・カステル(Robert Castel)
1933年フランス、サン=ピエール=キルビニョン(現在のブレスト)生まれ。社 会学者。リール大学を経て、ヴァンセンヌ実験センター(のちのパリ第8大学)などで教鞭を執る。現在、社会科学高等研究院(EHESS)教授。社会運動研 究センター(CEMS)のメンバー。主な著作として、『精神医学の秩序』(1977年)、『リスクの管理』(1981年)、『社会の安全と不安全』 (2003年/庭田茂吉他訳、萌書房、2009年)、『不安の台頭』(2009年)、他。

訳者:
前川真行(まえがわ・まさゆき)
1967 年生まれ。京都大学経済学部卒業。同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。現在、大阪府立大学地域連携機構生涯教育センター准教授。思想史専攻。「生 の統治」(『人文学報』第84号、2001年)、「国家と愛――「期待される人間像」をめぐって」(富永茂樹編『転回点を求めて―― 一九六〇年代の研究』世界思想社、2009年)、他。

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