教育臨床の実際
学校で行う心と発達へのトータルサポート
子どもをとりまく事柄から、その世界に迫る。
子どもの発達、病いや障害、文化情況、文化人類学的比較、子ども観の変遷などを、
「子どもの権利条約」の精神を軸に展開した「子ども学」の先駆的書を時代にあわせて改訂。
包括的な子どもの理解をめざす。
【著者紹介】
武内珠美(たけうち・たまみ)大分大学教育福祉科学部教授。1985年広島大学大学院教育学研究科博士課程後期単位取得退学。主著に、『新版 心理臨床家の手引き』(共著、誠信書房)、『よくわかる発達心理学』(共著、ミネルヴァ書房)、『学校教育相談心理学』(共著、北大路書房)、『女性のためのライフサイクル心理学』(共著、福村出版)など。
渡辺 亘(わたなべ・わたる)大分大学教育福祉科学部附属教育実践総合センター准教授。2001 年広島大学大学院教育学研究科心理学専攻博士課程後期修了。主著に、『学校教育相談』(共著)『保育と教育に生かす臨床心理学』(共著、以上ミネルヴァ書房)、『精神分析における未構成の経験』(分担訳、誠信書房)、『心理学辞典』(共著、丸善)など。
佐藤晋治(さとう・しんじ)大分大学教育福祉科学部附属教育実践総合センター准教授。2000 年筑波大学大学院心身障害学研究科博士課程単位取得退学。主著に、『行動分析学研究アンソロジー2010』(分担執筆(再録)、星和書店)、『新しい実践を創造する学校カウンセリング入門』(分担執筆、東洋館出版)、『臨床発達心理学概論―発達支援の理論と実際―』(分担執筆、ミネルヴァ書房)、『福祉事務管理シリーズ3 老人・障害者の心理』(共著、建帛社)など。
溝口 剛(みぞぐち・つよし)大分大学教育福祉科学部准教授。2001 年広島大学大学院教育学研究科博士課程後期単位取得退学。主著に、『自己を追いつめる青少年の心』(共著)『さまよえる青少年の心』(共著、以上北大路書房)、『精神分析における未構成の経験』(分担訳、誠信書房)、『「五月病」からアイデンティティの旅へ』(大学と学生)など。
序 章 教育臨床とは何か
1 今日の学校現場に見られる児童生徒の教育臨床的問題
2 今日の子どもが成長する環境の変化について
3 教育臨床とは何か
4 本書について
第1部 教育現場における教育臨床の現状
第1章 小学校における教育臨床の実際
1 小学校現場における今日的問題
2 特別な配慮・支援を必要とする子どもへの教育相談
3 効果的な指導・支援体制とは
第2章 中学校における教育臨床の実際
1 校内で求められる教育相談の役割
2 保護者のグループカウンセリングについて
第3章 高校における教育臨床の実際
1 高校の現状
2 高校における教育相談
第4章 相談専門機関における教育臨床の実際
1 はじめに
2 教育相談機関
3 教育支援センター―適応指導教室―
4 その他の相談専門機関
5 連 携
第2部 教育臨床の実践的基礎
第1章 子どもの発達と問題,そして必要な関わり
1 子どもの発達について学ぶ必要性
2 赤ちゃん時代
3 幼児前期
4 幼児後期
5 児 童 期
6 思春期・青年期
第2章 教育臨床の考え方・進め方・学び方―カウンセリングからケースマネジメントまで―
1 教育臨床の考え方
2 教育臨床の進め方―教育相談の進め方―
3 教育臨床の学び方
第3章 心理・情緒面のアセスメント
1 心理アセスメントとは
2 心理アセスメントの枠組み
第4章 心理・情緒の問題への援助
1 援助の基礎―「わかる」ということ―
2 対話による援助―カウンセリング的関わり―
3 遊びによる援助―プレイセラピー的関わり―
4 いくつかの誤解
第5章 発達・認知のアセスメント
1 はじめに
2 発達に関する支援ニーズ
3 適応行動
4 認知機能
5 ま と め
第6章 発達・認知の問題への援助
1 はじめに
2 行動分析のはじめの一歩
3 気になる行動へのアプローチ
第3部 教育臨床の諸問題
第1章 不 登 校
1 はじめに
2 不登校の概要
3 不登校の理解
4 不登校に対する援助
5 おわりに
第2章 い じ め
1 はじめに
2 いじめの定義と実態
3 いじめ問題の理解
4 いじめ問題への対応
第3章 虐 待
1 虐待の概要
2 事 例
第4章 発達障害
1 発達障害児の抱える諸問題
2 発達に偏りを示す子どもへの支援の実際―「不登校」への支援から見える発達障害―
3 おわりに―支援者として必要な視点―
第5章 自傷・自己破壊的行動
1 自傷行為とは何か
2 自傷行為に対する援助の在り方
3 自傷行為の背景として考えられること
4 援助にあたって心がけたいこと
5 おわりに
第6章 子どもの精神医学と薬
1 はじめに
2 子どもの総合的評価
3 子どもで見られる精神疾患
4 薬物療法
第7章 学校の危機管理・危機対応
1 学校の危機管理・危機対応の必要性
2 学校コミュニティの危機の際の反応
3 危機介入・緊急支援と危機対応
第8章 学習と進路
1 学習の問題への援助―PASS モデルに基づく支援戦略の基本―
2 進路に関する問題
第9章 保護者への対応
1 はじめに
2 保護者対応の基本―協力者となってもらうために―
3 協力者になりにくい場合
4 おわりに
あとがき
索 引
■コラム
1 ひきこもり
2 性の問題
3 摂食障害
4 心 身 症