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〈生活防災〉のすすめ

東日本大震災と日本社会

〈生活防災〉のすすめ

東日本大震災に生きる、地域と地域、人と人のつながり。災害とともに生きていくために、日々の生活の智恵と工夫を改めて見直す。

著者 矢守 克也
ジャンル テキスト
家政学
出版年月日 2011/05/01
ISBN 9784779505706
判型・ページ数 A5・120ページ
定価 本体1,300円+税
 

目次

増補版へのまえがき
まえがき

増補1章 〈生活防災〉のエッセンス
 1.〈生活防災〉とは何か  
 2.〈生活防災〉の具体事例
 3.災害文化
 4.中山間地の強靭さ
 5.伝統的な災害文化から新しい〈生活防災〉へ
 6.〈生活防災〉の5つのエッセンス

増補2章 東日本大震災に思う
 1.超広域災害―みんなが当事者―
 2.「北から」―「被災地つながり」の重要性―
 3.「想定外」
 4.〈1対9の災害〉と〈1対99の災害〉―日本型「対口支援」を目指して―
 5.「インターローカリティ」―つながりについての考察―」

1章 <生活防災>のすすめ
 1.「土手の花見」
 2.<最適化防災>の限界
 3.<生活防災>とは何か
 4.<生活防災>の実践(1)―ゴミと防災―
 5.<生活防災>の実践(2)―高齢者福祉と防災―
 6. 最後に―「楽しさ」と「ハードウェア」―

2章 防災のタイム・スケール―<1年>・<10年>・<100年>の防災―
 1.生活のリズムと自然のリズム
 2.<1年>の防災
 3.<10年>の防災
 4.<100年>の防災

3章 災害リスク・コミュニケーションの新しいかたち
 1. 災害リスクと情報
 2.「個別化」
 3.「主体化」
 4.「可視化」
 5.「日常化」
 6.おわりに

4章 防災教育の新しいアプローチ
 1.能動的なはたらきかけを重視した防災教育
 2.成果物・アウトプットを生み出すことを重視した防災教育
 3. 学校以外の主体・組織との連携を重視した防災教育
 4.諸活動に埋め込まれた様式を重視した防災教育

5章 犯罪の自然災害化/自然災害の犯罪化
 1.犯罪の自然災害化
 2.自然災害の犯罪化

6章 阪神・淡路大震災10年―コラム「神戸新聞を読んで」から―
 1.独自のリズムを
 2.掲載されなかった記事
 3.新潟から神戸へ
 4.1週間の数字
 5.風化と熟成

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内容説明

計画を立ててはみたものの、さまざまなトレードオフに突きあたり、なかなか進捗しようとしない防災対策への取り組み。ゴミを減らす、整理整頓を心がける――普段の小さな心がけから非常時の対策をめざしていく<生活防災>について解説し、人びとが進んで参加できる、より現実的な「今後」の防災の在り方を示す。

【著者紹介】
矢守克也(やもり・かつや)
1988年 大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程単位取得退学
現在、京都大学防災研究所巨大災害研究センター教授・センター長
主著:『防災ゲームで学ぶリスク・コミュニケーション』(共著)ナカニシヤ出版
   『クロスロード・ネクスト』(共著)ナカニシヤ出版
   『防災人間科学』東京大学出版会
   『アクションリサーチ』新曜社
   『ワードマップ:防災・減災の人間科学』(共編著)新曜社
   『夢みる防災教育』(共著)晃陽書房 

 

■ちょっと立ち読み

『〈生活防災〉のすすめ 』: 第1章(抜粋)

(前略)私たち日本人は、春、花見を楽しむが、花見と言えば、川岸の土手に植えられた桜並木を思い浮かべる人も多いであろう。では、なぜ、川の土手なのか。(中略)花見は春である。その前は冬。川の土手は、降霜や氷結の作用によって緩んでしまう。そこへ、春を挟んで梅雨がやってくる。土手が弱体化したところに増水が重なると、土手の決壊につながりかねない。これを防止するために仕組まれたのが、「土手の花見」というイベントだという。(中略)

 筆者がここで注目したいのは、この工夫が、土手のメンテナンスという防災上の活動と、花見という別の活動、しかも、人びとが進んで参加しようと考える活動とを巧みに重合させている点である。(中略)

 これまで、防災は、(中略)専門家が、それぞれの側面ごとに、地域や時代を超えて普遍的に通用する法則性、最適解を究明し、かつ、それらを一般住民や行政機関(国や地方自治体)に伝授するというスタイルを基本としてきた。(中略)しかし、〈最適化防災〉にも自ずと限界はある。(中略)

 一般家庭でも行政機関でも、固有の履歴・事情?たとえば、家庭では、家計や家族構成の状況など、行政機関では、それまでの防災投資、過去の被災履歴、財政状況、組織体制など?を抱え、それに拘束される以上、防災に関わる諸側面すべてについてその最適化を図ることは、現実的にはほとんど不可能である。(中略)

 防災の営みが進捗しない最大の原因は、「他のことで精一杯」というしばしば耳にするフレーズに集約されているように思える。「うちは、年寄りの介護で精一杯、来るかどうかもわからない地震のことなんて…」、「うちの町では、ゴミ問題が先決…」といった具合である。(中略)

 他の生活領域、行政分野とのトレード・オフに突きあたって、私たちは、あらためて「土手の花見」の先見性を知ることになる。すなわち、「土手の花見」は、(中略)トレード・オフ関係そのものを解消する方向性を示しているのだ。(中略)

 防災が、生活全体の中に他の諸領域とともに混融しているのだとすれば、(中略)生活まるごとにおける防災、言い換えれば、他の諸領域と引き離さない防災をこそ追求すべきである。本書では、(中略)こうした防災のことを、〈生活防災〉と呼ぶことにしよう。(後略)

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