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国際政治哲学

国際政治哲学

戦争と平和、グローバルな貧困、国際紛争…。国際問題を政治哲学的に考えるための理論を網羅した、最新・最強のテキストブック。

著者 小田川 大典
五野井 郁夫
高橋 良輔
ジャンル テキスト
法律・政治 > 法哲学・政治思想
教養・共通科目 > 教養科目
出版年月日 2011/05/01
ISBN 9784779505607
判型・ページ数 A5・344ページ
定価 本体3,200円+税
 

目次

 はじめに――本書の使い方   小田川大典

第Ⅰ部 国際社会の秩序と正義

 第1章 国際秩序観の変容――絡みあう戦争と平和  高橋良輔
   はじめに  
  A.近代までの国際秩序観
   第1節 国際秩序観の源流
       (1.1) 人間本性と戦争原因論
       (1.2) 正戦論の起源
   第2節 社会契約の臨海と国際システムの原理
       (2.1) 戦争状態としての国際関係
       (2.2) 自由と安全のトレードオフ
       (2.3) 商業の精神と相互依存
  B.国際秩序観の重層化
   第3節 コスモポリタニズム vs コミュニタリアニズム
       (3.1) 国家を超える法秩序を求めて
       (3.2) 国家主権の優越性と相互承認の秩序
       (3.3) 受け継がれた国家理性論
   第4節 国際秩序観の変動と正戦論の復権
       (4.1) 戦間期リベラリズムの挫折
       (4.2) 空間秩序と戦争の意味変化
       (4.3) 秩序と正義のあいだの緊張
       (4.4) 正戦論の復権
   おわりに
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 第2章 グローバル・ジャスティス論――国境を越える分配的正義  上原賢司
   はじめに――グローバルな不平等と正義の問い
  A.国内社会における正義から国境横断的な正義へ
   第1節 ロールズの『正義論』とそのグローバルな拡大
       (1.1) 国内社会における正義の原理
       (1.2) グローバルな正義の原理
   第2節 ロールズの『万民の法』とその批判
       (2.1) 『万民の法』とその内容
       (2.2) 異なる社会間、人びとの不平等と『万民の法』
  B.ロールズ以後の国境横断的な正義とその問題
   第3節 『万民の法』への批判とコスモポリタニズム
       (3.1) 「諸人民の法」の問題点
       (3.2) 「コスモポリタニズム」対「国家主義」、「コミュニタリアニズム」
   第4節 それぞれの社会を重要視する議論
       (4.1) ナショナリティの重要性
       (4.2) 社会における協働の重要性
       (4.3) 社会(国家)のもつ強制力の重要性
       (4.4) 新しいかたちとしてのグローバルな正義論の必要性
   おわりに――これからの理論的課題
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第Ⅱ部 平和論の現在
 
 第3章 「人間の安全保障」論――構造的暴力との関連において  清水耕介
   はじめに
  A.人間の安全保障の概要
   第1節 人間の安全保障の歴史
       (1.1) 『人間開発報告書』
       (1.2) 人間の安全保障委員会報告書
       (1.3) 「欠乏からの自由」――人間開発
       (1.4) 「恐怖からの自由」――平和構築
  B.人間の安全保障に対する批判的アプローチ
   第2節 人間の安全保障とリベラリズムの思想
       (2.1) 旧来の安全保障と人間の安全保障
       (2.2) リアリズム vs 理想主義
       (2.3) 政治と経済の分離――リベラリズム
   第3節 現在の人間の安全保障にまつわる議論
       (3.1) 文化的暴力と国際文化論
       (3.2) 統治性・「善き生」
   おわりに
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 第4章 民主的平和論――国際紛争と政治体制  多湖 淳
   はじめに――民主主義体制と国際紛争
  A.民主的平和をめぐる論争
   第1節 民主的平和論とは何か
       (1.1) 民主的平和論の「おこり」と三つの論理
       (1.2) マオツとラセットによる実証分析
       (1.3) 民主主義と戦略的な紛争回避
       (1.4) 民主的平和論の現実社会との関連性
   第2節 民主的平和論批判
       (2.1) 民主的平和論への批判とそれに対する反論
       (2.2) 報道の自由の平和
       (2.3) 商業的平和論
  B.民主的平和論の派生的研究と追試の実践
   第3節 民主的平和論からの派生的議論とその根源的な課題
       (3.1) 「民主化の平和論」をめぐるディベート
       (3.2) 統計的手法に依拠するさまざまな困難
   第4節 データ分析の追試
   おわりに
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第Ⅲ部 国民国家を超えて

 第5章 グローバル・デモクラシー論――国境を越える政治の構想  五野井郁夫
   はじめに――冷戦後世界における世界政治の風景
  A.グローバル・デモクラシーとは何か
   第1節 なぜグローバル・デモクラシーなのか
       (1.1) グローバル・ガヴァナンスにおけるデモクラシー
       (1.2) グローバル・デモクラシーへの反論
       (1.3) グローバル・デモクラシーを創造することの困難さと後期近代
   第2節 グローバル・デモクラシーの諸類型
       (2.1) デモクラシー論の百家争鳴――デモクラシーと「デモクラシーズ」をめぐって
       (2.2) トップダウンかボトムアップか
  B.デモクラシーと「デモクラシーズ」の世界構想
   第3節 グローバル・デモクラシーの諸構想
       (3.1) リベラルな国際主義
       (3.2) コスモポリタン・デモクラシー
       (3.3) 熟議デモクラシー
       (3.4) ラディカルな多元的民主主義
   第4節 グローバル・デモクラシーの展望
   おわりに
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 第6章 <帝国>とマルチチュード――新しい世界の構想  芝崎厚士
   はじめに
  A.ハートとネグリの世界描写
   第1節 「国際政治学」からみたハートとネグリ
       (1.1) ハート、ネグリと国際関係研究
       (1.2) 本章の構成
   第2節 <帝国>
       (2.1) <帝国>とは何か
       (2.2) <帝国>の特徴
       (2.3) <帝国>論の特徴
       (2.4) <帝国>論の評定
   第3節 マルチチュード
       (3.1) マルチチュードとは何か
       (3.2) <共>と絶対的デモクラシー
       (3.3) マルチチュード論の特徴
       (3.4) マルチチュード論の評定
  B.グローバルな革命の可能性と国際政治哲学
   第4節 <帝国>と帝国、マルチチュードとグローバル市民社会
       (4.1) アメリカ「帝国」論とグローバル市民社会論
       (4.2) 国際政治哲学の世界描写とハート、ネグリの世界描写
   第5節 哲学の世界構想と世界構想の哲学
       (5.1) 哲学による世界構想と世界構想による哲学
       (5.2) 世界と人びと
   おわりに
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第Ⅳ部 対話による深化

 第7章 近代日本における国際政治論の展開  春名展生
   はじめに
  A.国家間の一元的序列と「脱亜入欧」
   第1節 文明開化と富国強兵
       (1.1) 理想と現実
       (1.2) 文明と野蛮
       (1.3) 力の支配
   第2節 「脱亜入欧」の邁進と日清戦争
       (2.1) 軍事力と国際的な地位
       (2.2) 「脱亜入欧」と人種の壁
       (2.3) 黄禍論と「同人種同盟」案
   第3節 日露戦争と「脱亜入欧」の隘路
       (3.1) 再び黄禍論
       (3.2) 人道の見地と文明の調和
       (3.3) アジア・モンロー主義の台頭
  B.地域的秩序の並立と「興亜」
   第4節 第一次世界大戦の衝撃
       (4.1) 国際秩序の転換か持続か
       (4.2) 国際連盟と「国際政治」
       (4.3) 人種から資源へ――地域統合の論理
   第5節 地域主義と東亜新秩序・大東亜共栄圏
       (5.1) 国際統合の順路
       (5.2) 国際統合の互恵性
       (5.3) 普遍主義批判
   おわりに
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 第8章 国際秩序の法的構想――国際政治哲学を学ぶ人のための国際法思想入門  西 平等
   はじめに
   第1節 グロティウス的伝統とは何か
       (1.1) 「国際法の父」であるか?
       (1.2) グロティウスの近代性
       (1.3) グロティウス再評価
   第2節 国際法と国際政治の分岐点
       (2.1) 古典的国際秩序観とその崩壊
       (2.2) 「政治と法の不調和」という時代感覚
       (2.3) カーとラウターパクト
       (2.4) 若きモーゲンソーによる政治的国際法思考の試み
   おわりに
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 参考文献
 おわりに
 人名索引
 事項索引


     

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内容説明

●正誤表
誤字誤植等の無いよう,細心の注意をはらっておりますが,至らず以下の諸点においてミスが生じております。お手数をおかけいたしますが,修正していただけますようお願いいたします。
(第1刷)
23ページ、2行目 (誤)軍事国際  → (正)軍事国債 201ページ、1行目 (誤)メキシコの「土地なし農民運動(MST)」  → (正)ブラジルの「土地なし農民運動(MST)」

 

 

国境を越える政治哲学
戦争と平和、グローバルな貧困、国境を越える政治――。国際的・国境横断的な諸問題について、哲学的に考えるための概念装置を網羅した最新かつ最強のテキストブック!

「はじめに――本書の使い方」より

本書は、戦争やグローバルな貧困といった国際的(あるいは国境横断的)な問題について道徳的な推論を行う際に、問題の所在や考え方を明確化するうえで有益な概念装置を整理したテキストである。各章はそれぞれ、大学の標準的な講義二回分(第8章のみ一回分)を想定した内容を含んでおり、一冊(全8章)で15回分の講義が行えるよう編まれている。

――難局にあって、自らの立場を選択し、現実にコミットする際、われわれは政治哲学の伝統のなかで練り上げられた道徳的な語彙を用い、道徳的な世界についての記述と解釈を試みる。怒りや憤りを口にするときですら、われわれはそうした語彙に頼らずにはいられない。われわれは自らの試みた記述と解釈が、道徳的世界の構造に対応し、その道徳的な語りが「有無を言わせない力」をもつことを望む。蓋し、われわれは自分の道徳的推論が孤独な思い込みのなかで自足することに耐えられないからである。これまでも、これからも。そして、この地でも、かの地でも。

【著者紹介】(*は編者)
小田川大典(おだがわ・だいすけ)*
1967年生まれ。神戸大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。政治思想史専攻。岡山大学大学院社会文化科学研究科教授。『啓蒙の運命』(分担執筆、名古屋大学出版会、2011年)、『はじめて学ぶ政治学』(分担執筆、ミネルヴァ書房、2008年)、『イギリス哲学・思想事典』(分担執筆・研究社、2007年)、『共和主義の思想空間』(分担執筆、名古屋大学出版会)、イェンス・バーテルソン『国家論のクリティーク』(共訳、岩波書店、2006年)、他。

五野井郁夫(ごのい・いくお)*
1979年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。政治学・国際関係論専攻。立教大学法学部助教。『政治の発見3 支える』(分担執筆、風行社、2011年)、『成長なき時代の国家を構想する』(分担執筆、ナカニシヤ出版、2010年)、『リベラルからの反撃』(分担執筆、朝日新聞社、2006年)、ウィリアム・コノリー『プルーラリズム』(共訳、岩波書店、2008年)他。

高橋良輔(たかはし・りょうすけ)*
1974年生まれ。青山学院大学大学院国政政治経済学研究科一貫制博士課程修了。国際関係論・政治社会学専攻。佐賀大学文化教育学部准教授。『政治の発見8 越える』(分担執筆、風行社、2010年)、『周縁学』(共編著、昭和堂、2010年)、『国際社会の意義と限界』(分担執筆、国際書院、2008年)、他。

上原賢司(うえはら・けんじ)
1980年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士後期課程。政治思想・現代政治理論専攻。

清水耕介(しみず・こうすけ)
1965年生まれ。NZ国立ヴィクトリア大学政治学・国際関係学大学院博士課程修了。国際関係理論・国際政治経済学理論専攻。龍谷大学国際文化学部教授。

多湖 淳(たご・あつし)
1976年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。国際政治学(安全保障論)専攻。神戸大学大学院法学研究科准教授。

芝崎厚士(しばさき・あつし)
1970年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。国際関係論・国際文化論・国際関係思想専攻。駒澤大学グローバル・メディア・スタディーズ学部准教授。

春名展生(はるな・のぶお)
1975年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。国際政治学専攻。中京大学・放送大学非常勤講師。

西 平等(にし・たいら)
1972年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得退学。国際法専攻。関西大学法学部准教授。

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