-
2016/10/03
-
『思考のエシックス』書評掲載(『毎日新聞』〔9月16日付〕)
2007/09/16
思考のエシックス
反・方法主義論
現象学者、鷲田清一による待望の最新刊! 大好評、忽ち重版!
「方法」の研磨という近代哲学の強迫観念とその隘路から、現代の「学問」はいかに解き放たれうるのか――。
その筋道を鮮やかに照らし出すのが、「反・方法主義」というスタイルであり、思考のエートスに他ならない。
方法主義という近代精神への批判を緻密に繰り広げながら、「国家」「精神分析」「ケア」「生命倫理」など、いくつもの今日的な事象にも濃やかなまなざしを注いできた現象学者、鷲田清一による、待望の哲学論文集。
<「まえがき」より>
けれども、と立ち止まっておもう。思考の緻密さは思考の器官がみずから磨くナイフとしての「方法」によって極められるものなのか、と。ナイフではなくて絨毯のような、目のつまった濃やかなまなざしというものがあるのではないか。事象をときに覆い隠してしまう「方法」の緻密さではなく、事象に肉薄する別の緻密さの尺度というものが、思考にはあるのではないか。こよなく正確に語るために、ときに文法をきしませすらもする詩のように。
【著者紹介】
鷲田清一(わしだ・きよかず)
京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。哲学・倫理学専攻。大阪大学教授。
『メルロ=ポンティ』(講談社)、『分散する理性』(勁草書房)、『人称と行為』(昭和堂)、『「聴く」ことの力―臨床哲学試論』(阪急コミュニケーションズ)、『モードの迷宮』(ちくま学芸文庫)、『「待つ」ということ』(角川学芸出版)、『感覚の幽い風景』(紀伊国屋書店)、『<想像>のレッスン』(NTT出版)、『老いの空白』(弘文堂)、『死なないでいる理由』(小学館)、『弱さの力』(講談社)、『だれのための仕事』(岩波書店)など、多数。
まえがき
I <方法>というオブセッション
第1章 方法のエチカ
1 《自律》という理念
2 《主観性》という根拠/場所、あるいは《構成》というプロブレマティック
3 《方法主義的制覇》に抗して
4 内在主義としての方法主義
第2章 方法の臨界
――《純粋》というトポスの不可能性とハイブリッドな志向の可能性――
1 《純粋》へのパトス
2 《純粋》というトポス 1――《純粋意識》への還元――
3 《純粋》というトポス 2――《純粋法学》という理念――
4 「純粋な領域」のほころび
5 ハイブリッドな思考とは?
第3章 思考の<場所>への問い
――方法主義的批判――
1 哲学の「存在理由」?
2 哲学の<外部>
3 方法への懐疑
4 エッセイという理念
5 非方法の方法
第4章 思考の調性について
――九鬼周造の「哲学的図案」――
1 「哲学的図案」
2 二元の邂逅――思考の第一の軌道――
3 論理の臨界――思考の第二の軌道――
4 思考の調性について
II 全体という擬制
――<国家>の存在をめぐって――
1 国境
2 中間
3 登録
4 自由
5 必要
6 掟
7 触れ
8 分身
9 同化
10 不等
11 分離
12 尊厳
13 過程
〔補遺〕 「人間の尊厳」という概念をめぐって
III 意識のブラックホール
――フロイトを読む――
1 無意識の発見
2 昏いもの――《不気味なもの》をめぐって――
3 傷ついたコギト――精神分析と<主題性>の解体――
4 精神分析のレトリック――<無意識>の概念をめぐって――
5 失われた直接性――《スムの解釈学》から《主体の系譜学》へ――
6 非人称の思考――コギトの外部――
7 コギトの不安
IV 哲学・科学・ケア
第1章 専門性という倒錯
1 科学研究者・技術者と市民のあいだのディスコミュニケーション
2 二つの専門家主義批判
3 ケアの専門家?
4 ホスピタリティという概念をめぐって
5 「専門」と「非専門」をつなぐ知へ向けて
第2章 《生命倫理》は倫理的か?
第3章 <老い>はまだ空白のままである
第4章 働くことの意味?
あとがき
初出一覧
I <方法>というオブセッション
第1章 方法のエチカ
1 《自律》という理念
2 《主観性》という根拠/場所、あるいは《構成》というプロブレマティック
3 《方法主義的制覇》に抗して
4 内在主義としての方法主義
第2章 方法の臨界
――《純粋》というトポスの不可能性とハイブリッドな志向の可能性――
1 《純粋》へのパトス
2 《純粋》というトポス 1――《純粋意識》への還元――
3 《純粋》というトポス 2――《純粋法学》という理念――
4 「純粋な領域」のほころび
5 ハイブリッドな思考とは?
第3章 思考の<場所>への問い
――方法主義的批判――
1 哲学の「存在理由」?
2 哲学の<外部>
3 方法への懐疑
4 エッセイという理念
5 非方法の方法
第4章 思考の調性について
――九鬼周造の「哲学的図案」――
1 「哲学的図案」
2 二元の邂逅――思考の第一の軌道――
3 論理の臨界――思考の第二の軌道――
4 思考の調性について
II 全体という擬制
――<国家>の存在をめぐって――
1 国境
2 中間
3 登録
4 自由
5 必要
6 掟
7 触れ
8 分身
9 同化
10 不等
11 分離
12 尊厳
13 過程
〔補遺〕 「人間の尊厳」という概念をめぐって
III 意識のブラックホール
――フロイトを読む――
1 無意識の発見
2 昏いもの――《不気味なもの》をめぐって――
3 傷ついたコギト――精神分析と<主題性>の解体――
4 精神分析のレトリック――<無意識>の概念をめぐって――
5 失われた直接性――《スムの解釈学》から《主体の系譜学》へ――
6 非人称の思考――コギトの外部――
7 コギトの不安
IV 哲学・科学・ケア
第1章 専門性という倒錯
1 科学研究者・技術者と市民のあいだのディスコミュニケーション
2 二つの専門家主義批判
3 ケアの専門家?
4 ホスピタリティという概念をめぐって
5 「専門」と「非専門」をつなぐ知へ向けて
第2章 《生命倫理》は倫理的か?
第3章 <老い>はまだ空白のままである
第4章 働くことの意味?
あとがき
初出一覧
関連書籍
-
定価 2,420円(税込)