新学期が始まりました。本書を手に,授業を受け始めた人もおられることだと思います。以前の第10回や第22回のTipsでは,心理学を勉強し始めた頃に参考になるような内容をお伝えしましたが,今回も新年度早々ということもあり,そのような内容でまとめてみたいと思います。
皆さんも「教養」という言葉はご存知でしょうが,その意味はどうでしょうか? 教養とはどのような意味の言葉でしょうか?
この言葉は,とても一般的なものだと思いますが,意外とその意味については理解されていないように思います。おそらく,「幅広い教養」などと言うように,教養とは多くの知識のことというふうに理解されている場合が多いのではないかと思います。もし教養をこのように理解すれば,教養としての心理学を学ぶということは,単に知識を得ることで十分ということになります。
しかし,このような「教養」の理解は,ちょっと違っているといえるのです。内田樹は,「知に働けば蔵が建つ(文芸春秋)」の中で,次のようにいっています。
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教養は情報ではない。
教養とはかたちのある情報単位の集積のことではなく,カテゴリーもクラスも重要度もまったく異にする情報単位のあいだの関係性を発見する力である。
雑学は「すでに知っていること」を取り出すことしかできない。教養とは「まだ知らないこと」ヘフライングする能力のことである。
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国語辞典をひいてみても,たしかに「教養」に知識という説明はあります。しかし「教養」とはそれだけではなく,知識や様々な訓練,修養を通して得られる理解力とか,豊かな心,創造性という説明がされています。つまり,教養としての心理学を学ぶということは,本書などに載っている心理学的知識を自分のものにするだけでは不十分なのです。
知識を自分のものにすることは必要ですが,それだけで満足してしまうと教養としての心理学にはなりません。ではどうすればいいかということは難しいですが,少なくともいろいろな知識を覚えようとする学習では教養に結び付き難いといえます。どういうふうに学習すれば,自分にとって教養となりやすいのかを考えてみることも大切なことでしょう。